うねり・潮流・島の位置などが正確に記録された、枝と貝殻を組み合わせて作るマーシャル諸島の海図「スティック・チャート」
どこでも手に入るヤシの枝と貝殻で作られた非常にシンプルなマーシャル諸島の海図「スティック・チャート」。見た目は非常に簡素なものですが、実は代々受け継がれてきた知恵がつまったとても洗練されたナビゲーション・システムなのです。
1. マーシャル諸島
3000年以上昔からミクロネシア人が住んでいたと言われる太平洋に浮かぶマーシャル諸島。29の珊瑚環礁と1100以上の島で構成されているため島々の行き来は必要不可欠。そこでコンパスや測量機器がまだ存在していない時代に海を安全に渡るために生まれたのが、枝と貝殻を組み合わせて作るマーシャル諸島の海図「スティック・チャート」です。
2.
マーシャル諸島の海図「スティック・チャート」は、真っ直ぐまたは曲がったココナッツの葉や枝などの繊維と小さな貝殻が複雑に組み合わせて作られたもの。基本的な読み方は、貝殻は「島」、枝は海の「潮流」や「うねり」を表しており、島から離れていく「うねり」は曲がった枝、短くまっすぐな枝は島近くの「潮流」、長い枝は島への正しい道、そして小さなコヤスガイは自分の島です。
しかし実際には非常に多くの種類が存在しており、地図を作った人によって枝や貝殻の意味や解釈も大きく違っています。また「スティック・チャート」の作り方や読み方は父から子へ秘密裏に受け継がれていくもので誰もが知っているわけでありません。
3. 「Mattang charts」と呼ばれる学習用スティックチャート。
4. 1991年に首都マジュロで入手されたスティックチャートのレプリカ
5. こちらも同じく1991年に首都マジュロで入手されたスティックチャートのレプリカ
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7. 島の位置とスティックチャート
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10. 復元されたスティックチャート
11. イギリスの科学博物に展示されているスティック・チャート。69cmの四角形でヤシの枝から作られています。
現在の海図のように正確に海の地形を表したものではありませんが、島と島を繋ぐには必要十分な情報が詰まった素晴らしい海図なのがよくわかります。しかし第二次世界大戦後に新しい技術が導入され徐々に使われなくなってしまったようです。
ちなみにこちらの映像はインドネシアのバジャウ族の少女がみせる凄技。あっという間に浸水したボートから海水が無くなって行きます。これもまた海の民の生活の知恵ですね。
海に生きるバジャウ(Bajau)族の少女の「浸水したボートの中の水をあっと言う間に追い出す賢い方法」の動画
ソース:The Stick Chart Navigation of Marshall Islands | Amusing Planet
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