超高級ピアノの「スタインウェイ」が投資ファンドに身売り
名だたるピアニスト達に愛されてきた世界最高のピアノメーカー「スタインウェイ・アンド・サンズ」が、全株式を投資ファンドに売却し、上場を廃止することが報道されました。
各社報道によれば「スタインウェイ・アンド・サンズ」の親会社「スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ」は2013年7月1日、総額約4億3800万ドル(約438億円)で株式を投資ファンドのコールバーグ・アンド・カンパニーに売却することを発表しました。
スタインウェイ社は1853年の創業の老舗。1972年に総合エンターテイメント企業CBSが買収し1996年から「LVB(ベートヴェンのイニシャル)」の証券コードで上場していました。
ドイツ・ハンブルクとアメリカ・ニューヨークに工房があり、その音量と音色、反応性、耐久性などから非常に多くのピアニストに愛されてきました。またヤマハなど国内メーカーのピアノ作りにも多大な影響を与え、名実ともに世界最高のピアノを作り続けてきました。
しかし近年、主力の北米・ヨーロッパ向けの売り上げは落ち込む一方。今回の売却はロシア、中国、インドといった国をターゲットにしたグローバル化の促進が目的ではないかと言われています。景気の回復とともにターゲット層である富裕層の購買力が復活しつつあり、会社としての価値も向上しつつあった、という点も売却の決め手になった模様です。
また、ニューヨークのカーネギーホールの向かいにあった同社の主力ショールーム、「スタインウェイ・ホール」も4630万ドルで売却する見通しです。
「スタインウェイ・ミュージカル・インスツルメンツ」はピアノだけでなく、傘下に「バック」や「キング」(ともに金管楽器)、「セルマー」(サクソフォン等)「コーン」(ホルン)「ルブラン」(木管楽器)「ルードヴィッヒ」(打楽器)といった、いずれも楽器メーカーを傘下に持っていますが、これらがどうなるかも気になるところ。
調律師フランツ・モアなどスタッフも超一流であっただけに、今回の買収と方針転換が彼らにどういう影響があるかも懸念が残るところです。
老舗ピアノメーカーでは、オーストリアのベーゼンドルファーが2008年にヤマハの子会社となりました。スタインウェイですら身売りせざるを得ない、という現実はピアノ界に対する大きなショックとなるのではないでしょうか。
ソース:Piano maker Steinway tuned for takeover
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