科学と技術

SF兵器「電磁投射砲(レールガン)」アメリカ海軍が2016年に洋上テスト開始


超高電圧によって発生する「ローレンツ力」を使った未来の砲撃ウェポン「電磁投射砲(レールガン)」の洋上テストがいよいよ2016年に開始されます。


レールガンは従来の火砲やミサイルのように火薬やロケット燃料ではなく、2本のレールの間においた導電体に超高電圧をかけた際に発生する電磁気の力「ローレンツ力」を利用する兵器。

近年では弾体にはたらくローレンツ力だけではなく、高電圧によって弾体の後ろに発生するプラズマの膨張力も推進力に利用しており、この写真のように弾の後ろに圧力を受け止めるサボーが付けられています

そういうわけで火薬を使わなくともプラズマの爆炎がこのように見えているのです。

サボーが弾体から分離するところ。姿勢を安定させ貫通力を高めるために長細く、フィンがついています。戦車などでも用いるAPFSDS弾と同じ仕組です。

アメリカ海軍では2005年からレールガンの実用化に取り組んできました。超音速の弾頭は長距離を飛んだ後も威力を失わないうえ、普通の砲弾やミサイルとくらべて推進薬や炸薬、ロケット燃料を使わないため比較的安全です。

また、弾体の構造が簡単なため1発あたりの製造コストは2万5千ドル(約260万円)とミサイルの1発1億円からという価格に比べて劇的に安くなります。直接照準が難しい目標はミサイルで、それ以外の目標はレールガンや通常の火砲で攻撃するなど、複合的に配備されると思われます。

将来は弾体にGPS誘導装置を内蔵し、照準の誤差を自分で修正しながら飛んで行くようにするとのこと。有効射程203kmが目標となっています。

2016年から始まるとされている実験では、JHSV(統合高速輸送船)「ミリノケット」にレールガンが搭載されます。これは積載スペースやスケジュールの都合によるもので、この種の艦船にレールガンが搭載されるかどうかは未定です。

動画はこちらから。
Navy to Deploy Electromagnetic Railgun Aboard JHSV – YouTube

ソース:Navy to Deploy Electromagnetic Railgun Aboard JHSV

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