ポッド式コーヒーメーカーもICチップで「詰め替え・互換ポッド」を排除する方向へ
プリンターや使い捨てカミソリのように、本体は安くして消耗品で採算を得るのがいわゆる「消耗品ビジネス」。ポッドを使って手軽に本格的なエスプレッソを楽しめるポッド式コーヒーメーカーにも、どうやらその波がやってきたようです。
ポッド式コーヒーメーカーは手軽にエスプレッソコーヒーを淹れられる機械。エスプレッソは極細く挽いたコーヒーに高圧の蒸気を当てて作るもの。
エスプレッソを抽出しているところ。抽出には普通のドリップコーヒーよりも道具が必要になります。また入れる人の習熟度によって味が若干変わります。
File:A good cappuccino starts with a perfect espresso!! (4441914182).jpg – Wikimedia Commons
またエスプレッソは抽出した後のコーヒー豆の処理が非常に面倒。このため日本ではお店で買って飲むのが一般的でした。
File:Love me some stovetop espresso coffee (photo by j bizzie).jpg – Wikimedia Commons
その流れが変わったのが「ポッド(カプセル)」と呼ばれるプラスチック容器に濃縮コーヒー液や粉を詰め、容器ごと機器にセットするコーヒーメーカー。これならゴミも処理しやすく、安定した質のエスプレッソが抽出できます。
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またポッドの中に色々なフレーバーの飲料を入れることができるので、バリエーション展開もされています。
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しかし「消耗品ビジネス」であるからして、このポッドが若干お高いのが難点。手間を考えると妥当なところなのですが、ちょっとでも安くあげたい人はサードパーティから発売されている互換ポッドや、このように自分でコーヒー豆を詰め替えるポッドを使うこともあるようです。
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先日、カナダのポッド式コーヒーメーカー市場で40%のシェアを持つGreen Mountain Coffee Roasters社のCEO、ブライアン・ケリー氏は「よりよいコーヒーを抽出するため、コーヒーメーカーの新機種ではライセンスされていないポッドが使用できないようにする」と、プリンタインクと同じようにICチップを用いたDRMを導入することを発表しました。
これについて互換ポッドを販売していたTreeHouse Foods社が「Green Mountain Coffee Roastersのポッドに関する特許は2012年に失効しているので製造するのに問題はない。またサードパーティーのポッドの市場からの排除は独占禁止法に違反している」と訴訟を提起。被告であるGreen Mountain Coffee Roasters社の広報は「いわれのない訴えであり断固争う」と全面対決の姿勢を見せています。
独占・寡占などによって需要と供給以外のことで価格が決まるのは「市場の失敗」とされています。「消耗品ビジネス」は規格で囲い込んで他の選択肢を排除して価格を決定しているあたりかなりギリギリのところを攻めているモデルとなります。いったいどのような判決が下されるのかに注目です。
ソース:Keurig’s next-gen single-serve brewers will DRM-lock your coffee
Keurig Will Use DRM In New Coffee Maker To Lock Out Refill Market | Techdirt
トップ画像:keurig | Flickr – Photo Sharing!
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