科学と技術

科学の力で「絶対音感」を習得できる可能性があることが判明


基準となる音を聞かなくても、ある音の高さを正確に判別できるのが「絶対音感」。子どもの頃に訓練しなければ身につけることができない……と言われている能力ですが、科学の力によって大人になってからでも絶対音感を身につけることができるようになるかもしれません。


絶対音感を持っているのは全人類のうちの0.01%と言われ、彼らは西洋音楽における12音階の音高を70~99%の精度、半音程度の誤差で判別できます。一般人の場合は10~40%、誤差3度以上と言いますからこれは大変な精度となります。ちなみに絶対音感保持者でもオクターブの判別は苦手という場合も多いそうです。

絶対音感は脳の環境認識をつかさどる部分であるleft posterior dorsolateral frontal cortexそして側頭平面が関係しており、特に側頭平面がよく発達しています。ただし絶対音感がどのようなメカニズムで実現しているのかはいまだ不明です。反応速度の速さから、脳が音を記憶していてそこにアクセスすることが可能なのではないかと言われています。一般の人は、基準音を聞いてそこからの距離を計算する「相対音感」なので、計算する分反応速度が遅くなるからです。

この脳の発達は成長の初期にのみみられる現象で、平均以上に高い能力を得るには早い時期に密度の高い訓練を行わなければいけません。6歳以前に訓練を始めれば絶対音感を身に着けられる可能性は高くなりますが、9歳以降ではかなり難しくなります。大人でも訓練によって限定的な絶対音感を得ることはできまずが、神経細胞の顕著な発達のための期間は限られています。

この限定された期間を再度スタートすることはできないか、ということで研究者達は抗けいれん薬や気分安定薬、一部では大うつ病の治療に用いられるバルプロ酸に注目。これを投与したグループと、しないグループの双方に音高判定訓練をほどこした結果、15日後の測定では投与したグループに成績の向上が見られたということです。

学習や訓練について、同じ能力を身に着けられるのならラクなほうがいいに決まっています。人間が何かを学習するそのメカニズムを解明することは、教育の改善にダイレクトにつながるものです。

なお、絶対音感が身についたからといって、歌がヘタなのが治ったりするわけではありません。歌の改善は体のコントロールの訓練であり、反復が必要です。「努力と根性」が必要なものはまだまだあるのです。

ソース:Frontiers | Valproate reopens critical-period learning of absolute pitch | Frontiers in Systems Neuroscience

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