理論上存在しうるすべてのメロディを生成し著作権フリーで公開してしまった人が登場
音楽の世界で問題となりやすいのがいわゆる「盗作」。とはいえ、メロディが似通ってしまうということは原理上どうしてもあるわけで、そうなると後は「訴訟のための費用と時間があるほうが勝ち」ということになってしまいます。それならば理論上すべてのメロディを記録し登録してしまえば、誰も音楽の著作権を主張できなくなり、逆にすべての人の著作権が保護できることになるのでは……そんな試みを実際にやってしまった人が現れました。
この奇抜な著作権保護方法は、音楽家で弁護士のダニエル・リール氏が編み出し、TEDxで発表した方法。
Copyrighting all the melodies to avoid accidental infringement | Damien Riehl | TEDxMinneapolis – YouTube
まず「ドドドド」「ドドドレ」「ドドドミ」……とブルートフォース方式、いわゆる「総当たり」で音楽データを作成します。
アメリカでは何かのメディアに記録された時点で著作権が発生するので、このデータをハードディスクに記録。ただしデータの量と生成のための時間には限りがあるので「1オクターブ8音から12個並べる」というルールが用いられました。これで約687億個のメロディがカバーできるそうです。
生成に用いられたコードと実際のデータはこちらで著作権フリーにて公開されているので、法律の理論上はもう誰も音楽のメロディに関する著作権を主張できなくなる……という仕組み。
All the Music, LLC – Helping Songwriters Make All of Their Music
あまりにも極端な理屈ですが、逆に著作権というものにかなり曖昧な部分があり、かつ現代的なコンピューター技術の存在を想定していないということがよく分かる思考実験でもあります。
Every Melody Has Been Copyrighted (and they’re all on this hard drive) – YouTube
著作権を巡っては、こんな感じにあまりにも白々しいというかタテマエばかりの事件が起こっていたりもします。何かまったく違う手段で権利を守ることはできないものでしょうか。
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