独立宣言するも国家と認められず世界から孤立した地域に暮らす人々を撮影したドキュメンタリ写真シリーズ「Lands in Limbo」
民族や政治などの様々な理由により独立を選んだ国や地域には、世界中の国から国家承認されず孤立した状態となっているところも数多く存在しています。その多くは凄絶な犠牲を伴い経済も疲弊し住民も外部の世界から孤立した状態となっています。
この写真シリーズ「Lands in Limbo」は、アメリカの写真家 Narayan Mahon 氏がヨーロッパ・アフリカの6カ国アブハジア、ナゴルノ・カラバフ、北キプロス、ソマリランド、沿ドニエストルを撮影したもの。どの国も事実上は独立国となっていますが、世界的な国家認証されていません。現在も激しい内戦状態で非常に危険な場所も多く、さらには本国より立入りが禁止されている等、世界とは大きく分断されています。
6カ国の位置をしるした地図。黒い部分が陸地です。
アブハジア共和国(アブハジア)
黒海東岸に面した旧ソ連の構成国の一つグルジア(ジョージア)の西部地域。現在はロシア、ニカラグア、ベネズエラ、ナウルの極小数の国が独立を承認しているのみ。
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ナゴルノ・カラバフ共和国(アルツァフ共和国)
カスピ海に面したアゼルバイジャン共和国の西部地域。隣国のアルメニアとアゼルバイジャンの対立の火種となっている。現在、独立を承認している国は存在していない。ただし、同じく国際的に独立を承認されていない3つの未承認国(アブハジア、南オセチア、沿ドニエストル)とは相互認証が行われている。
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北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)
地中海に浮かぶキプロス島の北部地域。島の約37%を締める。トルコ系住民とギリシャ系住民の対立が引き金となり、トルコの軍事的な後ろ盾により独立を宣言し事実上独立状態となっている。南部のギリシャ系の住民が住む「キプロス共和国」は国連加盟国193カ国中の192カ国が国家認証しているが、北部の「北キプロス・トルコ共和国」はトルコのみである。
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ソマリランド共和国(ソマリランド)
アフリカの角と呼ばれるソマリ半島に位置する「ソマリア連邦共和国」。この国は現在内戦状態が長く続き事実上無政府状態となっています。旧英領だった北部は「ソマリランド」、北東部は「プントランド」、南部は暫定政府「ソマリア」と大きく3分割され、お互いに対立してるため非常に危険。また、中央政府が存在しないためにソマリア沖のスエズ運河を往来する外国船を襲う海賊が多発しています。
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参照:現代の悲劇、崩壊したソマリアで銃をとり戦う少年兵の画像
沿ドニエストル共和国(トランスドニエストル)
東欧・モルドバの東部を流れるドニエストル川東岸のウクライナと接する地域。国際的にはモルドバの一部とみなされている地域ですが、事実上の独立状態が続いています。
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この写真シリーズ「Lands in Limbo」は、アメリカの写真家 Narayan Mahon 氏の作品です。
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