どの単語にも同じパターンが現れない不思議な言語「アル・サイード・ベドウィン手話」
あらゆる英文はたった26文字のアルファベットからできているように、言語というものは小さく分けていくと少数の「パターン」の組み合わせになっていく……というのが「常識」でした。しかしイスラエルの少数民族に伝わる「アル・サイード・ベドウィン手話」は一つとして同じパターンが現れない不思議な言語なのだそうです。
イスラエル南部のネゲヴ砂漠に住むある少数民族では、遺伝的にほとんどの構成員が聴覚障害をもって生まれてきます。このため独自の「アル・サイード・ベドウィン手話」が非常に発達しており、耳が聞こえる者も聞こえないものも手話でやり取りができるそうです。
「アル・サイード・ベドウィン手話」は単語同士で同じパターンが現れないのが特徴です。
普通の言語であれば、まったく違う単語間で同じ文字や発音が現れるのはごく当たり前のことです。「あなた」「あり」「あめ」などにはすべて「あ」が現れます。漢字にしても、部首の組み合わせで作られるものが数多く存在しています。しかし「アル・サイード・ベドウィン手話」にはこうした共通パターンが見られないのです。
覚える量が少ないほど言語は習得しやすいのはごく当たり前。なぜ「アル・サイード・ベドウィン手話」のような複雑な言語が生き残っているのでしょうか。
一つの説としては「アル・サイード・ベドウィン手話」の語彙数がそれほど多くないことが考えられます。ただし、他の研究では例え数十語の人工言語でも世代を追うごとにパターン化が行われることが確認されているので、この説は成立しないでしょう。
もう一つの手話としては、手話は視覚的に意味がはっきりしており、単語間の微妙な違いでも表現しやすいという仮説もあります。
「アル・サイード・ベドウィン手話」のドキュメンタリー「Voices from El-Sayed」の予告編がこちらから。かなり複雑なやりとりを行っていますが、同じ動きが一つとしてないというのはすごいですね。
Voices from El-Sayed enlish trailer – YouTube
ソース:The Unusual Language That Linguists Thought Couldn’t Exist – Facts So Romantic – Nautilus
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