人間はロボットに指示される方が効率よく働けることが判明
ロボットが人間の仕事を奪い、世界は持つものと持たざる者の永久戦争に突入する……という予想はよく聞くところ。しかし現実世界では人間がロボットに仕事を割り振るのではなく、逆に「ロボットが人間に仕事を配分する」という、さらに上をいく研究が行われています。
マサチューセッツ工科大学の計算機科学・人工知能研究所(CSAIL)は長年、人間とロボットの協働について研究を重ねてきましたが、今回取り上げたのは「人間の職場に、どのようにして抵抗なくロボットを持ち込むか」というところ。
まず、仮説では自動化すればするほど作業効率(青線)は上がりますが、そこで働いている人間の満足度(赤線)は下がり、そのバランスを取るのが難しいということになりました。
そういうわけで部品取り・部品輸送・部品組み立ての3つのタスクからなる実験を設定。
ロボットに部品の輸送をさせ、それ以外の2つの作業量の配分を「手動」「自動」「一部自動」に設定して、グループ間で比較しました。
すると、作業時間(青)・作業量配分時間(赤)ともに自動化を進めたほうが減少するということがわかったのです。
また、作業者のアンケートからも「ロボットに指示してほしい」人が多いということが分かりました。中には「ロボットのほうがチームをよく理解している」と答える人もいたようです。
また、自動化の度合いが強いほど、チーム全体の業績に関係のない作業をする率が高まってしまうことも分かりました。
結局、仮説とは違い、自動化を進めれば進めるほど効率も満足度も上がるということが明らかになりました。
もちろん単純に労働者をロボットに置き換えるべき、という結論ではありません。ここで問題になるのは仕事量とスケジューリングの関係です。人間が注意できる範囲は非常に狭く、チーム全体を常に計測することができるロボットのほうがこうした「指示出し」は得意ではないか……と考えられます。また、アルゴリズムがあれば、突然の事故によるリスケジューリングも、最小の時間で対応できるのです。
要するに「ものすごく全体をよく見ていて、しかも部下に人気のある人」が指示出しをすれば問題ないのですが、実際の社会ではそんな素晴らしい人をたくさん用意できないので、ロボットなりアルゴリズムが有利になると言うわけですね。Googleも膨大なデータを使って「よい上司を作る方法」を研究したりしていますが、どちらが勝利するのか楽しみです。
ソース:Want a happy worker? Let robots take control. | MIT News Office
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