フィルムカメラをデジタルカメラに変身させられるフィルム型CMOSセンサ「DigiPod」
デジタルカメラが一般的なものになり始めた前世紀末、誰もが考えたのが「フィルムカメラをデジタルカメラに変身させることはできないだろうか……」ということ。そんな遠い日の夢が、ようやく花開く日が近いかもしれません。まさしく「デジタルフィルム」と呼ぶべき「DigiPod」が出資者を募集しています。
DigiPodは普通の銀塩フィルムの代わりに使用することで、従来のフィルムカメラをデジタルカメラに変身させられるという「デジタルフィルム」というコンセプトの製品。
使い方はまず裏蓋のフィルム抑え板をとりはずし、DigiPodを装着して蓋をしめます。そのままフィルムの巻き上げを行うとDigiPodが待機状態になり、5~8分の待ち受け時間以内にシャッターを切ると画像が記録されるという仕組み。
DigiPod本体では24~3200までASA感度(ISO感度と同値)と、シャッター幕が走る方向を設定できます。記録は本体内のmicroSDカードで行われます。
現在、クラウドファンディングサイト「Indiegogo」で出資を募っており、希望者は199ポンド(約3万円)の出資で先行生産分を購入できます。
今のところ3/4インチサイズのCMOSセンサを使用する予定ということですが、出資者数によってセンサーサイズは4/3インチまで大きくするということです。
デジカメとしての性能は凡庸ですが、機械式の古いカメラを持っているユーザーにはちょっと面白いオモチャになるかもしれません。
プロトタイプを使って実際に撮影しているところはこちらから。
Digipod turns your old SLR digital – YouTube
この「35mmフィルムのスペースに画像センサを装着すればデジタルカメラになるのでは……」というアイディアの歴史はものすごく長いものがあります。まず1999年。IMAGEK社がEFS-1という名前でそのものずばりの製品を見本市に出品しています。しかし同年、ニコンはデジタル一眼レフ「D1」をリリース、この商品の実用性には早くも疑問符がつきました。
フォトキナ初日レポート「プリンタ内蔵デジカメ、35mmカメラに内蔵できるアダプタ」
しかしこのアイディアは死ぬことがありませんでした。IMAGEK社はSiliconFilm社と名前を変えてeFilm EFS-1としてCeBIT2001に出品。サンプル画像も各所で掲載されたようですが結局リリースならず、最後には詐欺で訴えられて終わったようです。
「CeBIT2001」デジタルカメラレポート 第三弾
それでもまだこのアイディアは見果てぬ夢として愛好家の胸に残り続けました。そして残り続けた結果、2011年のエイプリルフールではこちらの「RE-35」が大量の犠牲者を生みだしました。
RE-35 | Digital cartridges for analog 35-mm cameras
さてはて、DigiPodは三度目、四度目の正直となってくれるのでしょうか。オールドカメラ&レンズファンの人はお手持ちの機材を処分せずにもうちょっと待ってみるといいかもしれません。
関連記事
1984年から2012年まで「カメラグランプリ」を受賞した29台のカメラ一覧 - DNA
カメラが大好きな人たちの「あるある」な迷惑行為をまとめた動画「DSLR GEAR NO IDEA」 - DNA
トイカメラ「ホルガ」を2200万画素のデジカメに改造した「Holga-Cam of the Apocalypse」 - DNA
機材に合わせて自由にレイアウトを変えられるカメラバッグ「TrekPak」 - DNA
世界最小クラスのデジタル一眼カメラ「PENTAX Q10 エヴァンゲリオンモデル」 - DNA
二大カメラメーカー永遠の対決、キヤノンVSニコンを比較したインフォグラフィクス - DNA
ニコン製カメラレンズ「ニッコール」の硝材から完成に至るまでの製造工程がよくわかる公式動画 - DNA
無線LANで写真データを自動送信できる「Eye-Fi」カードでいろいろ試してみた - DNA
ホンモノのゴツゴツ感、軍用暗視レンズをつけたかっこ良すぎるニコン・D700 - DNA