科学と技術

周波数帯一気に2倍、同じ周波数の電波で同時に送受信する技術をスタンフォード大学の研究者が開発


トランシーバーのように交互に通信を行ったり、送信・受信それぞれに専用の電波を用意したりしないと、1つの周波数の電波上で送信と受信を同時に行うことはできません。

しかしそんな不可能を、スタンフォード大学の研究者が実現しました。もし実用化に成功すれば単純に周波数帯が2倍になることになり、まさに電波インフラのブレークスルーといえそうです。


向かい合って大声で叫ぶとお互いの声が聞こえないのと同じで、互いに向かって同じ周波数で送信すると相手側の信号が自分の信号に埋もれてしもって受信が出来なくなります。さらに、同じ強さの電波で送信していても相手のところに届く時にはかなり弱くなってしまうため、相手の信号はさらに聞こえにくくなります。

つまり、受信する時に自分の電波と相手の電波を分けてやるか、自分の電波だけを消すことができれば同じ周波数で同時に送信・受信ができるようになるのです。

スタンフォード大学のPhilip A. Levis助教授と研究室の学生が着目したのはこのような基本的な原理でした。あまりにもシンプルなので「誰か先にやって失敗しているのではないか?」と疑ったそうです。

いったいどのような装置なのでしょうか。秘密はアンテナにあります。それぞれ電気的に繋がった送信用アンテナ2本と受信用アンテナ1本を1セットとし、2本の送信用アンテナから発射された電波が互いを打ち消しあうことで、相手の信号だけをクリアに拾うことができます。有線電話のエコーキャンセリングに似た技術のようです。

動画はこちらから。
YouTube – New Way To Faster, Cheaper Wireless

波の干渉を用いるシステムということでアンテナどうしの位置決めがシビアな感じですが、実用化すれば、現在の時分割・周波数分割の両方式のいいところどりが可能になり、限られた電波をより効率よく利用できるようになります。将来が楽しみな技術ですね。

ソース:Researchers develop wireless technology for more efficient communication networks

関連記事

「デスグリップ」再来、iPhoneのアンテナ問題は「CDMA版」でも改善していなかったことが発覚 – DNA

15万ドルで人工衛星を買い取って無料インターネット接続の提供を目指すプロジェクト「Buy This Satellite」 – DNA

ロシアの物理学者が、大気圏再突入時の「ブラックアウト」を解決する方法を発見 – DNA

1960年代の最先端「ベル研究所」のSF映画のような内部写真いろいろ – DNA

まさにAmazonの「戦略兵器」、維持費無料の3G回線でやりたい放題できる「Kindle 3G+Wi-Fi」ハードウェアレビュー – DNA

iPod Touchをモバイル3Gルーターに変身させるケース「ZTE PEEL」がいよいよ販売開始 – DNA

iPhone経由でWi-Fi iPadでもネットサーフィンが楽しめるようになる「非テザリング」アプリ「CoBrowser」 – DNA

この記事をブックマーク/共有する


前後の記事

DNAをこれからもよろしくお願いします!

Facebook上のコメント一覧