ロシアの物理学者が、大気圏再突入時の「ブラックアウト」を解決する方法を発見
宇宙機が大気圏に再突入する時「ブラックアウト」という通信途絶の状態に陥りますが、これを解決するかもしれない方法をロシアの物理学者が発見したそうです。宇宙ものの映画では大気圏再突入はオーラスの最も盛り上がる場面ですが、そんな演出が過去のものになるかもしれません。
マッハ8から15という高速で大気圏に突入すると大気との摩擦で機体が高温になり、辺りの空気がプラズマ化します。このプラズマの層によって電波が遮断されるため大気圏再突入時には通信ができなくなっていまいます。
邪魔されにくい長波帯による通信や機体の形状の変更、ノーズからアンテナを突き出すなどこれまで様々な方法が試されましたが、成功しませんでした。
これらに対し、ランダウ理論物理研究所のアレクサンドル・コロトケビッチは、発生する発生するプラズマを通信に利用するというアプローチで研究を進めました。
まず、プラズマは「プラズマ振動数」という固有振動数を持っています。プラズマの密度などによってこのプラズマ振動数は変化しますが、コロトケビッチはプラズマがプラズマ振動数に近い周波数の電波を吸収したり反射したりするという性質があるということに注目しました。
吸収された電波のエネルギーはプラズマを共振させます。この共振している部分にシャトルから電波を発射すると当然その電波は一部吸収された後反射して戻ってきますが、この時共振の影響を受けて信号が変化しています。この変化を読み取ることで通信を行うというのが原理となっています。
プラズマに干渉することで気流に影響を与え、シャトルの動きが不安定にならないかなどまだまだ調査すべきことはたくさんあるそうですが、コロトケビッチ氏はプラズマの動きと電波の動きの速さはまったく違うため影響はないと考えているそうです。
誘導にGPSなどの電波を利用する弾道ミサイルにおいて、大気圏に再突入する際でも通信が可能になる技術ということで軍も大いに興味をしめしているそうです。
ソース:Russian Physicists Solve Radio Black-Out Problem for Re-Entering Spacecraft – Technology Review
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