科学と技術

学生による「教授の講義評価システム」はまったく役にたたないことが研究によって判明


最近の大学では、学期ごとに生徒が教授の講義を評価するシステムを導入しているところが増えました。これによって講義の質を向上させようということですが、この講義評価システムは、実はほとんど役に立っていないことが明らかになりました。

多くの場合、この講義評価システムは教授陣の人事評価に大きな影響を与えています。その学科・コースの存続をこの評価システムで決める大学も多いようです。

しかしカリフォルニア大学バークレー校のフィリップ・スターク氏の研究によれば、このシステム自体、まだ未成熟なものなのです。

まずアンケートの回答率の問題があります。クラスの全員がアンケートに回答するわけではありません。満足している、あるいは不満足であればあるほど回答率が高くなるので結果にはバイアスがかかってしまいます。

また、集計することにも問題があります。刺激的な内容によって学生の賛否が極端に分かれた講義と、万人が受け取りやすかった講義では、平均するとだいたい同じ点数になってしまうという問題があります。

さらには初年度生向けの入門講義と、より専門的なゼミナールを同じ様式で評価してもよいでしょうか。実習講義ではどうでしょうか。まったく違うものに同じように成績をつけるのは困難です。

そもそも教授への評価は「単位のとりやすさ」によって大きく変わります。「チョロい」講義には高い点がつきがちです。

これらの要素を考慮しつつ、講義の質を客観的に計測することはできないのでしょうか。

スイス・ジュネーヴ大学のミシェル・ペリッツァーリ教授の研究は「その学生の次学期の成績」を見ることで講義の質を計測できるといいます。よい教師はよい学生を育てることができるので、その学生の成績が上がるというのは確かにあることです。

またこの理論をもとに、講義への評価を「再評価」すると面白いことが起こりました。学生がよい成績をおさめているほど、講義への評価は低くなりがちだったのです。つまり講義への評価と教授の能力への評価を分けることができたのです。

ちなみに成績トップの学生ほど、講義への評価と教授の能力への評価は一致する傾向にありました。優秀な学生は厳しく鍛えられる意味を理解できたということです。

日本では少子化と共に「大学全入時代」が始まろうとしており「顧客」である学生を確保するため色々な工夫をしています。しかし「講義評価システム」というのは、学生にとっての居心地の良さを計測するものでしかなく、扱っている「商品」である講義の質を必ずしも反映している訳ではありません。

よき教育者はよき学生を育てている、という原則にもっと注目すべきではないでしょうか。

ソース:Student Course Evaluations Get An ‘F’ : NPR Ed : NPR

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