「人体破壊専用ピストル弾」がアメリカで売り切れる騒ぎに
普通、銃弾の宣伝というのは、ちょっとボカした内容になるのですがG2 Research社の開発したRIP弾はこのタブーを破り、対人破壊能力を前面に押し出したことで売り切れ続出の大騒ぎになっているようです。
G2 Research社の開発したRIP弾は「Radically Invasive Projectile(劇的な侵襲力をもつ弾頭)」の頭文字をとったもの。
弾丸の性能には「貫通」と「破壊」の2つの指標がありますがこの2つは相反するもの。例えば貫通力を高めるにはタングステンのような重たく硬い素材を使いますが、あまりに硬いとターゲットに当たった時に変形せずターゲットの内部を破壊する力が小さくなってしまいます。逆に破壊力を狙っていくと、貫通力が下がります。
強盗などに備える「ホームディフェンス」では、壁や家具の向こうにいる人間を撃つ貫通力、そして限られた弾数でターゲットを確実に止める破壊力が求められます。G2 Research社によれば、RIP弾はこの2つの相反した性能をなんとか一つにまとめるべく設計されているそうです。
秘密は8本の爪を束ねたようなこちらの弾頭の形状にあります。
ちょうど木材に大きな穴を開けるためのホールソーのような形になっているわけです。回転しながら飛ぶことで比較的柔らかい家の壁や車のガラスなどを食い破っていきます。
File:Drill arbor holesaw 2.jpg – Wikimedia Commons
右から飛んできたRIP弾がブロックを破り、内側で抜けずに止まったところ。普通だと貫通して運動エネルギーが抜けてしまうのですが、ここでしっかり止まるところが第2のポイント。
このように爪が開いて弾頭が大きく変形するのです。こちらは人体と同じ硬さの弾道計測用ゼラチンに撃ちこんだところ。
このように変形することで弾丸の運動エネルギーを余すところなく肉体に伝え、内部をかき回して破壊するという設計です。
G2 Research 9mm RIP Ballistic Gel test – YouTube
いっぱい撃ちこむと破片を取り出すのすら大変ですね。
実際に鶏肉に撃ちこむとこのように。出口側が破裂したかのような形状に穴が開きます。防弾チョッキを抜くだけの貫通力は望めませんが、生身の肉体に対してはすさまじい破壊力です。
G2 Research 9mm R.I.P.cartridge versus Chicken – YouTube
G2 Research RIP弾は文字通り「Rest In Peace(墓碑などに刻まれる「安らかに眠れ」)」を目標としており、賞賛も批判も殺到しているようです。過去に、ほぼ同じコンセプトで作られたウィンチェスター社のBlack Talon弾は規制こそされなかったものの一般販売が中止されることとなりましたが、RIP弾はどうなるでしょうか。
ソース:Home of RIP Ammo | G2 Research
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