Google、データ解析の結果「面接の難問奇問パズルはムダ」と結論
少し前「Googleやその他のIT企業の面接でされる質問」として様々な「難問奇問クイズ」が取り上げられていました。「さすが天才集団……面接も一味違う」と感心した人がいる一方「あれはなんの役に立つのか」と思った人も多いと思われますが、その後Google自身がデータを解析した結果、解答の内容とその人物の優秀さには全く何の関係もないことが明らかになりました。
これはニューヨーク・タイムズに掲載された「In Head-Hunting, Big Data May Not Be Such a Big Deal(訳:ヘッドハンティングではビッグデータは役に立たないかもしれない)」というインタビューで、Googleの人事部長ラスロ・ボック氏が答えているもの。ボック氏は、以前DNAでも取り上げたよい管理職をデータで定義する「Project Oxygen」を主導した人物です。
雇用する側がビッグデータを活用する利点について、様々な質問がなされているのですがそのうちの一問で、永遠の疑問に関する答えが出ていました。
Q. Other insights from the studies you’ve already done?
これまでの研究で他に分かったことがあれば教えてくださいA. On the hiring side, we found that brainteasers are a complete waste of time. How many golf balls can you fit into an airplane? How many gas stations in Manhattan? A complete waste of time. They don’t predict anything. They serve primarily to make the interviewer feel smart.
雇用側で言えば「難問奇問パズル」は完全に時間の無駄だということが判明しました。「飛行機にゴルフボールは何個詰められるか?」とか「マンハッタンにはガソリンスタンドが何軒あるか?」などです。完全に時間の無駄です。何の予想にもなりません。面接官の自己満足ですね。
やっぱりあの質問にはまったく意味がなかったのですね……あれを解けなくても決して落ち込む必要がないというのは嬉しいニュースです。
嬉しいニュースなのですが……
……実は噂に反してGoogleの入社面接では「難問奇問パズル」は出題されていなかった、というのをご存知でしょうか。
元Googleのソフトウェアエンジニアで、採用グループに所属していたゲイル・ラークマン・マクドゥエル氏によれば:
Contrary to what Business Insider and (sadly) even the Wall Street Journal might have you believe, Google never asked brain teasers. These have always been banned at Google, just as they are at most tech companies.
ビジネス・インサイダー紙や(残念ながら)ウォールストリート・ジャーナルに書かれたことに反して、Googleで「難問奇問パズル」が出題されたことはありません。他のIT企業と同じく、これらはGoogleでは排除されていました。
とのこと。もっとも何が「難問奇問」にあたるのか、という解釈はいろいろあります。
The closest Google typically gets to brainteasers is questions that are actually estimation or, more commonly, market-sizing questions. These include questions along the lines of “How many gas stations are there in Manhattan?” or “How would you estimate the revenue for Google Ads?”
質問された中で「難問奇問パズル」に最も近いものといえば予想、一般的には市場規模に関する質問でした。例えば「マンハッタンにはガソリンスタンドが何軒あるか?」「グーグルの広告収入はいくらくらいか」というものです。
人事部長と採用担当のインタビューの回答が見事にバッティングしているのも見所ですが、インタビューでは「なぜマンホールは丸いのか」「時計の長針と短針は1日に何回交差するか」など単なるクイズ的なものは昔から出題されない、されても合否とは無関係だと明言されています。
製品を顧客に届けるプロダクト・マネージャー職では「その製品はいったい何個くらい売れるものなのか?」という予想とセンスが欠かせません。「世界にはピアノの調律師が何人いるか」「シアトルの窓を全部拭くのにいくら請求すればいいか」などは、市場の規模とニーズの大きさを考えるのにどういうアプローチをする人なのだろうか、というのを理解するための質問なのです。
「十分に難問奇問じゃないのか……」と思えますが、Googleが雇おうというレベルの人にとっては当たり前の問題なのでしょうね。さりげなくGoogleの非凡さが見え隠れしているようです。
ちなみに「Googleでは難問奇問クイズが出題される」というウワサがなぜ広まったのかソースを追いかけてみると「とある本」と「とあるblogがGoogle以外の企業の面接問答をまとめて書いた『Googleで問われる問題』という記事」の2つが主な原因とのこと。
本やネットを読んで得た知識に振り回されているようでは、Googleへの入社は覚束ないようですね。
ソース:In Head-Hunting, Big Data May Not Be Such a Big Deal – NYTimes.com
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