科学と技術

世界初、3Dプリンタで実際に射撃できるライフルのフレームの出力に成功


規制というものは普通、完成したモノにかけるもので、それを作り出す工具にかけるというのはなかなか難しいものがあります。しかし、銃を吐き出す3Dプリンタというのは放っておいても大丈夫なのでしょうか。海外では実際にパーツを組み込み、発射可能なAR-15のレシーバーの出力に成功したそうです。


というわけで出力されたAR-15のロアレシーバー(下部フレーム)。下側は寸法検討のための縮小モデル。上側の本番レシーバーは、テコの原理で力のかかるフロントのピン受けと、小さいので破損しやすいボルトキャッチのピン受けが肉盛りされています・

それでもピンを入れるとヒビが。3Dプリンターは樹脂を薄く重ねていく方式なので、内側から剥がすような力のかけ方にはあまり強くないよう。

でもアクリル接着剤で補修が可能。樹脂ならではですね。

こちらもやっぱり破損。金属を切削して作るときも加工しにくい場所でもあります。

3Dプリンターの限界はこちらにも。

というわけで内部に22LR弾用のキットを組み込み完成。これは威力の小さな弾丸でテストするためと、「ピストル弾用のキットを組み込んだライフルとして登録するには、まずピストルとして登録しなければならない」という謎の法律によるものでもあります。

この状態で200発ほど撃ったそうですが、特に異常はみられなかったため今度はフルサイズの223口径用に換装。なお、ピストル弾用・ライフル弾用とも上部は通常の金属レシーバーが使用されました。

もちろん上部レシーバーも3Dプリンターを使って出力することは可能ですが、火薬ガスが直接当たる部分なので熱に弱い樹脂では強度が足りなくなる恐れがあり、今回はロアレシーバーのみの樹脂化となりました。もちろん材料がこれから進歩すればこれも実現することとなるでしょう。

技術的に特に目新しい話ではありません。しかしこうした実際に撃てる銃火器のデータがネットに蔓延し、ユーザーが自宅の3Dプリンターでこれを制作するようになると、データの流通は止めることができませんから、銃に関する規制はユーザーのモラル次第になってしまいます。技術が法律の想定を超える例がまた一つ出てきたということです。

ソース:Reinforced AR-15 Lower Receiver by HaveBlue – Thingiverse

Have Blue [dot org] ≫ Gunsmithing with a 3D printer – Part 1

Have Blue [dot org] ≫ Gunsmithing with a 3D printer – Part 2

3D printed lower – yes, it works. – AR15.COM

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