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世界の富は誰のもの?経済の中枢部にいる「核」の存在を確認


お金を独占することなく、流れを止めさえしなければ健全な経済が実現する……近代経済をざっくり説明すればこんな感じになります。しかし、世界の実態はこんな理想とはまったく違ったものである可能性があることが明らかになりました。


自由な経済競争を促進するため、多くの国には「独占禁止法」「反トラスト法」といった法律があります。同じような業種の企業どうしでカルテルを組んだり合併したりするのを禁じ、特定の企業が独り占めしてしまうことを防ぐものです。

問題なのは、この法律がその国内しか影響しない点。近年の大企業は多国籍化しているものが多く、これらが国境を越えて手を組むことを禁じるのは政治的な面から困難です。

スイス連邦工科大学の研究者はこれら多国籍企業どうしの関係に注目、財務データベース「Orbis 2007」に登録されている3700万企業から多国籍企業4万3千60企業を選び出し、それぞれの資本関係や株式の保有状況を調べ上げました。

使用されたモデルはこんな感じ。一般に株式は持っている数が多いほうが議決権が強くなります。そこで保有率50%を閾値にして所有・非所有を分け左の図を右の図のように簡略化。所有関係と資本の規模を合算していきます。

そうして、どの企業がどの企業をコントロールしているのかをモデル化したところ、そのうち1318企業の関連が深いことが分かりました。これら1318の企業は、他の企業と平均20個のつながりをもっており、富の源泉となる製造業の企業のうち売り上げベースで60%を所有していました。

さらに調べていくと、さらにつながりの深い「核」の企業が現れます。その数わずか147社。しかもそのうちの多くは証券会社や投資銀行などお金でお金を生む企業となっています。これらの企業は互いを株式で所有しあう非常に強い関係をもっており、全世界の富の実に40%をコントロールできるのだということが明らかになりました。

1318企業の所有関係図。赤い点が147企業の「核」をあらわします。緑の線が所有関係を表しますが、ものすごい量の線が集中しているのが分かります。

このモデルはあくまでも企業と企業の所有関係を調べており、例えば複数の企業で同じ人物が役員を勤めていたりなどという細かいつながりによる影響は無視されています。なのでこの事実が即「富の独占」の決定的な証拠となるわけではありません。

2008年の「リーマン・ショック」では、たった1社が原因で、証券市場の破綻を招き、各国の経済に取り返しのつかないダメージを与えました。富の集中はこのような悲劇を生みます。この研究を元に国際間カルテルを禁ずる枠組みを整備したり、あるいは関係の強さに応じて課税する仕組みを設けるべきではないか、と研究者やアナリストは考えているようです。

なお残念ながら今回の調査では「世界経済を裏から操る超国家共同体」や「電子化が進んだ市場でひたすら利益を生み続ける狂った人工知能」などの存在も確認することはできなかったとのこと。今後の研究に注目が集まります。

ソースでは147企業のうちトップ50のリストもあり、日本からは22位にに三菱UFJファイナンシャルグループ、38位に野村證券がランクインしています。

ソース:Revealed – the capitalist network that runs the world – physics-math – 19 October 2011 – New Scientist

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