科学と技術

60m先から撮影した画像から鍵をコピーすることができるソフト「Sneakey」


相手が気づかないうちに鍵をコピーするというと粘土に押しつけて型を取るというのがよく知られた方法ですが、よくあるギザギザの鍵なら遠くから望遠レンズで撮影した画像からでも複製することができます。


ソフトウェア「Sneakey」を開発したのはカリフォルニア大学サンディエゴ校のサヴェージ教授のチーム。「ウェブ上に自分の鍵の画像をさらしている人がいるが、それがいかに無防備であるか実証するために開発した」とのこと。ソフトは研究用のため一般には公開されていませんが、かなり恐ろしいソフトです。

まず、ターゲットの鍵と同じメーカーのブランク(溝を掘る前の合い鍵)を用意し、事前に形状をスキャンしておきます。次にターゲットの鍵をなんらかの方法で撮影し、その画像内の鍵とブランクの特徴点(先端やホルダー用の穴など)をクリックして選択します。

たったこれだけの動作で、画像内に写っているターゲットの傾きや遠近による歪み、サイズを自動的に認識し、凹凸の寸法を正確に計ることができます。あとは鍵用のならい旋盤を制御すれば合い鍵が完成です。

これくらいの荒さのデータがあれば鍵がコピー可能。斜めに移っていてもソフトが自動で補正します。1000万画素超の携帯電話のカメラにズームレンズのアタッチメントでも付ければこれくらいの解像度にはなると思います。クレジットカードのスキミングと同じくらいに警戒しておく必要があるでしょう。

Webに写真を出すときは個人情報にボカシを入れて見えなくするようにするのが慣例ですが、これまで鍵の先端にまで気を使ってきた人は多くないでしょう。また公衆の面前で鍵を見えるところに出しておかないように注意してきた人もそうないないと思います。

こうした攻撃に対しては、シルエットからは複製できない形状の鍵と自動車などでは既に使われているような解錠用電子チップ組み合わせてロックを複雑にすることで防御が可能です。例えばこのような鍵は溝や穴の形だけでなく深さの情報も必要になるので2次元スキャンではコピーがむずかしくなると思われます。

もちろん最近は3Dスキャンも一般的になってきており完全な防御とはいえなくなります。最後はやはり人間の注意力。普段から身の回りのセキュリティホールに気を使うことが大切です。

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