Mac伝統のシステムサウンド「Sosumi」の作者がその名の由来を語る動画
Apple社のコンピュータ、MacのOSには色々なこだわりが詰め込まれています。アイコンやシステムサウンドといったUIのデザインもそのひとつ。そして伝統のビープ音「Sosumi」にはユニークな由来があったのです。
Apple製品といえばあのビープ音、と言うべき「Sosumi」を作り出したのは当時のApple社のサウンドデザイナーであったジム・リークス氏。
アップル社は70年代後半から、ビートルズが出資する同名のレコード制作会社と社名の商標権について法的闘争を続けていました。81年にはお互いの事業領域を侵害しないこと、ということで和解が成立したのですが、その後MacがMIDIや録音用のチップを搭載して音楽制作機能をもつと「音楽事業に進出しようとしている」とクレームがつき争いは再燃。
ついには「『チャイム』というファイル名のビープ音は音楽コンテンツである」など言いがかりのような内容で申し立てるなど、まさに泥沼の様相を呈してきました。そして「Sosumi」の名前はこの混乱の中で生まれたのです。
和解に向けてリークス氏は当初ビートルズの曲名をもじった「Let it Beep(勝手に鳴らさせとけ)」というファイル名に変更しようとしたそうです。当然これはボツになったのですが、その時の会話から「そこまで言うなら訴えてみろよ(So Sue Me)」をもじった「Sosumi」が誕生したのです。ちなみに法務担当者には、これは日本語で音楽とは関係ないとした説明したとのこと。
他にも「ジャーン」というあのスタートアップサウンドや、スクリーンショットを保存する時の音やiPhoneのシャッター音として使われている音の制作にもリークス氏は関わってきました。
リークス氏は当時のMacのスタートアップサウンドを気に入っていませんでした。昔のコンピューターはよくクラッシュし、その度にこの音を聞かされることになるので、膨大なデータを失ったかもしれないユーザーの癒やしになるような音にしたいと、結構強引な手段で勝手に書き換えてしまったということです。
インタビュー動画はこちらから。なお、次の大型アップデートであるMacOS 11 Big Surではシステムサウンドが一新。ビープ音としてのSosumiは消えSonumi(So New Me……まったく新しい私)なるサウンドが登場。SosumiはApple社のホームページの規約やdisclaimerなどのdiv要素として余生を過ごすようです。
How A Lawsuit Inspired Apple’s Most Iconic Sounds – YouTube
スマホ黎明期の頃は、それはもう大掛かりな訴訟合戦が繰り広げられました。Appleの相手としてはサムスンが有名で、彼らも訴訟からユニークなコンテンツを作り出しています。
訴訟まみれなのを逆手にとったサムスンのコマーシャル動画 – DNA
関連記事
Apple社のキーボードについてる「コマンドキー」アイコンの元ネタはコレだった - DNA
アップル製品と約50年前のブラウン社の家電製品がどれくらい似ているか比べてみた - DNA
かつてApple社が製作していた超レアなノベルティグッズ43点 - DNA
80年代のApple社が未来を見据えてデザインしていた製品のプロトタイプいろいろ - DNA
あの70年代の名機が蘇る Apple IIの筐体を完全再現したPCケース「Raadition」 - DNA
「私たちアップル!」1980年代のApple社テーマソング「We Are Apple (Leading The Way)」 - DNA
あのApple社が80年代に展開していたアパレルラインのカタログ画像 - DNA