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盗んだ個人情報で書かれたAmazonの「クソ本」でマネーロンダリングする手口が明らかに


世界最大の通販サイト「Amazon」には大量の現金が集まり、これをどうやってか抜き出そうと色んな人が日々知恵を絞っています。今回明らかになったのは、作家になりすまして、本を売ることで違法な資金を洗浄するメソッド。いったいどのような手口なのでしょうか。

ある日突然、作家のパトリック・リームズさんのところにAmazonから「あなたは2万4千ドル(約254万円)分の印税を受け取った」という証明が送られてきました。

しかしパトリックさんには最近それほどに売れた本があったかどうか覚えがありませんし、そのような金額が銀行に振り込まれたこともありません。しかし、Amazonで検索してみたところ、彼の名義で1冊555ドル(約5万9千円)もする本が売られていたのです。

彼が書いたことになっている「Lower Days Ahead」なる本。注文に応じて印刷・発送される「オンデマンド」式の書籍です。内容の一部をチェックできる、いわゆる「なか見!」をしてみたところ、中身はランダムに生成された支離滅裂な文章が並んでいたそうです。

色々調べてみたところ、おそらく盗んだクレジットカードやデビットカードを現金化するためのマネーロンダリングの手口ではないかということがわかりました。その手口はこのようなものであると推測されます。

まず、犯人は盗んだ個人情報でAmazonのオンデマンドサービスに作家として登録し、高額な「著作」を販売します。この著作を盗難クレジットカードで購入すると、売価の6割分の印税が発生しこれが犯人の銀行口座に送金されます。Amazon側で作家として登録する際のチェックが甘ければ、犯行が露呈することもありません。

パトリックさんの調べによると、他にも数百のこうした「マネーロンダリング用書籍」が売られているとのこと。マネーロンダリングといえば最近はBitcoinなどの仮想通貨を用いた手口が有名ですが、Amazonを経由するこうした方法であればよりスピーディ、確実に現金を手にすることができ、犯罪者は逃げるために時間を稼ぐことができます。

Amazonから現金を抜き出すために、実に色々な手段が考案されています。こうした行為はAmazonの信用があってこそ成り立つもので、日々取り締まられていますが、いたちごっこは続いています。

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ソース:Money Laundering Via Author Impersonation on Amazon? — Krebs on Security

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