発光信号をテキストデータにエンコード・デコードする技術をアメリカ海軍が実験中
トンとツー、2つのシグナルで文章を送信するモールス信号は、低速ながら信頼性の高い通信方法として、軍では長らく使用されてきました。そんなモールス信号をさらに便利に、さらに高速化するべくアメリカ陸軍が色々な取り組みを行っています。
海軍では通常のアナログ・デジタル無線の他に、最悪電力が失われても通信できるよう信号旗や手旗信号、モールス信号などを学びます。発光信号もまた、このように古くから使われてきました。
A signalman aboard a US ship underway at sea sending blinker signal at night in t…HD Stock Footage – YouTube
こうした方法は機器の故障に強いのはもちろん、電波を出さないので傍受されたり発見されにくいという戦術上の利点もあります。しかしながら、正確に・高速に通信を行うには熟練が必要となります。
そこで、アメリカ海軍では発行信号をカメラで読み取り、テキストにデコード、あるいは入力したテキストを発光信号にデコードするデバイス「FLTC(Flashing Light to Text Converter……発光信号-テキストコンバーター)」を開発しました。
発光側はシャッターを電子回路で動かすため、ステッピングモーターによる駆動など、いくつかの方式がテストされました。
こちらは液晶シャッター方式。
そしてLED方式。可視光・肉眼では見えない近赤外線光の両方が出せます。
受光側は市販のGoProカメラとタブレット。
GoProで読み取った信号をタブレットでデコードすることで、このように受信・送信がとても簡単に行えます。
動画はこちらから。
Flashing Light to Text Converter – YouTube
現在、発光信号による通信速度は8ワード/秒とのことですが、送信側・受信側双方をFLTCにすることで、飛躍的に向上するとのこと。データを圧縮してバイナリを送る、ということもできるかもしれません。送信側・受信側のどちらかが人間であっても、発光速度を調整すればそのまま使用できるのもメリットです。
モールス信号は、送っていることが一見して分からないという点も利点の一つ。非常に多くのミステリにトリックとして登場してきましたが、こんな風に現実世界でも捕虜が本国にメッセージを送るのに使われたりもしました。まだまだ現役の通信方法といえそうです。
捕虜がまばたきモールス信号で「拷問されている」とメッセージを送っている動画 – DNA
ソース:News: Can Navy Vessels Use Shipboard Signal Lamps for Text Messaging? – Office of Naval Research
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