「ポジティブ思考」では目標を達成できない可能性が高くなる
とかく前向きに!元気に!肯定的に!という感じであることが求められる昨今ですが、実験によると「この目標は必ず達成できる!」とポジティブに考えている人ほど失敗する可能性が高いそうです。
何か達成したい目標がある人はポジティブ思考のほうが上手くいきそうなものですし、成功者と呼ばれる人はなんとなく前向きな人のほうが多いように見えます。しかし、心理学者のガブリエル・エッティンゲンが20年以上前に実験したところでは、その逆の結果が現れたそうです。
実験ではダイエットプログラムに参加した25人の肥満女性に「ダイエット度合いの予想」と「ダイエットの成否の見通し」を聞き取り、1年の間追跡調査を行いました。
すると「ダイエットの成否の見通し」について、前向き・楽観的に考えている人ほど、ダイエット目標から遠くなるという結果が出たのです。
その後、様々な国、性別、年齢の人々について目標と達成の成否を調査していったところ、どのような目標についても達成の成否の見通しが明るい人ほど、失敗している確率が高くなるということが明らかになりました。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。エッティンゲンは「この目標はきっと達成できる」と考えた時点で、心は「もうすでに達成した」と錯覚してしまうためだと考えいるようです。この錯覚により目標達成に向けた貪欲さが薄れてしまい、結局届かなくなってしまうのです。
これを防ぐにはどうすればよいのでしょうか。「これくらいの目標を達成したい」と考え、そしてそれが達成した時のことをあれこれ空想し終えたら、次にその目標を達成するまでの障害について考えるのが大事だとエッティンゲンは考えているようです。
「心理的対比」と名付けられたこの方法で、単に成功を夢想しているだけよりもよい結果が出せるそう。またこれによって、どう頑張っても達成できないような目標についても冷静に判断できるようになるという効果もあるようです。
目標は高く大きく立て、しかしその成功は決して楽観視しない……というのがごく当たり前のやり方だと思うのですが、なぜか世の中には「このプロジェクトは成功する!なぜなら成功するからだ!」レベルの考え方の人がたくさんいて、そうした人が組織の効率を下げているところをしばしば見かけます。
自分の立てた目標に関してなんの障害も見つからない、という人はもう一度本当によく考えてみたほうがいいのかもしれません。
Positive fantasies about idealized futures sap energy
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