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数千年も変わらぬ手法で革を染色し続けるモロッコ・フェズ旧市街の革工場


地中海沿いの北アフリカに位置するモロッコ第三の都市「フェズ」は、8世紀頃に建設され現在は約100万人が暮らす風光明媚な歴史都市。特に数千年間殆ど姿を変えていないメディナ(フェス・エル・バリ:Fes el-Bali)と呼ばれる旧市街には、巨大な染料が入った石の容器がズラッと並び、数千年もの間同じ手法で革を染色する革工場があります。

旧市街メディナは高い壁に囲まれとても狭く、自動車の通れない狭い道には商人や職人たちがナツメヤシ、魚、香辛料、銅の壺、絨毯、楽器など多種多様な物を販売しており、スーク(バザール、市場)にはフェズの特産品である革製品が多く並べれています。

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フェズには古くから続くいくつかの革工場がありますが、その中でも最も古く規模も大きいチョウアラ革工場(Chouara Tannery)は約3000年の歴史があります。

フェズの革工場は、上から見ると水彩画のパレットに似ており、多くの種類の染料がいっぱいに入った石の容器で構成され、数十人の職人たちが染料の入った石の容器に腰まで浸かりながら直射日光の中で作業を行っています。

革工場では牛、羊、ヤギ、ラクダの革をバッグ、コート、靴、サンダルなどに使用される高品質の革製品の原料を生産しています。

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革工場での全行程は、現代的な機械の必要性は無く、中世から殆ど変わらず全て人の手により行われています。

チョウアラ革工場では、革に残った余分な脂肪、肉や毛を取り除く作用のあるあまず最初に革を牛の尿、石灰石、水、塩を混ぜた液体に漬け込みます。この液体は、革に残った余分な脂肪、肉や毛を取り除く作用があります。2、3日この液体に漬け込まれた後、余分な毛繊維や脂肪が職人の手によって取り除かれます。

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次の行程では、水とハトの糞(フン)を混ぜた液体に漬け、職人たちが革を染色出来るように柔らかくなるまで素足で3時間程踏み続けます。ちなみに、ハトのフンに含まれるアンモニアは、染料を吸収出来るまで革をや柔らかくする作用があります。

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3つ目の行程では、自然の植物から作られた染料の容器に漬け込まれます。染色液に含まれるその他の素材は、革をこすって黄色に変えるザクロの実の粉、革に光沢を与えるオリーブオイルが含まれています。顔料にはポピー(赤)、インディゴ(青)、ヘンナ(オレンジ)、シダーウッド(茶)、ミント(グリーン)、サフラン(黃)などを使用しています。

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最後に日光で乾かして完了となります。完成した革は革職人たちに売られ、スリッパのようなモロッコの伝統的な履物「バブーシュ」や財布、ハンドバッグ、アクセサリーなどへ加工されます。

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また、フェズの革工場近くは牛の尿やハトのフンなどを使用しているためかなり強烈な匂いがあるようです。近くに立ち寄った際にはくれぐれも注意して下さい。

チョウアラ革工場(Chouara Tannery)はここ。かなり複雑な街です。

動画でみるとこんな感じです。
Chouara Tanneries, Fez, Morocco – YouTube

ソース:The Leather Tanneries of Fez, Morocco | Amusing Planet

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