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なぜPCのキーボードは「3キー以上の同時押し」ができないのか


最近のゲームは操作が複雑になってきていますが、問題は「キーボード」。実はキーボードのハードウェアの原理では3キー以上のQWERTYキーをうまく認識できないことがあるのです。これはいったいなぜなのでしょうか。


それでは本当に「同時押し」ができないかどうかこちらのスクリプトで試してみてください。キーボードにもよりますがたいていは2つまで、多くても6つまでしか同時押しができないようになっています。

普通のタイピングではまったく問題がありませんがFPSゲームなどで「左斜め前に移動しながらグレネードを投げる」、つまりAとWを押しながらGを押す、ということができないことがあります。これはいったいなぜなのでしょうか。

さて、キーボードの下には「キーボードマトリクス」と呼ばれるこのような配線シートが入っています。
Typewriter keyboard matrix | Flickr – Photo Sharing!

見た目はなんだか地下鉄の地図のようですが、平たく伸ばしてみると縦横にはしった格子状の配線の交点にキーが乗った形になっています。「行」と「列」でキーボードを表現するから「マトリクス」というわけですね。

それではキーを押してみましょう。キーが押されると縦横の線がつながって通電します。この場合まず列Cで通電したことがわかり、たどると行3で通電していたのでC-3のキーが押されたのが分かりました。

2キーでもこのとおり。まず列を調べ、それから行を調べるという手順で交点を見つけていきます。2キーまではこれで大丈夫。

それでは3キーにするとどうなるでしょうか。キーはたしかに3箇所押しているのに、通電状況は上の2キーの時と区別がつきません。C-3、E-5と順番に押さえていって、最後にC-5を押しても反応しないのです。

しかもこの場合、他にもこんな押し方と通電パターンがカブります。つまり同時押しできちんと認識するのは2キーまで。普通のキーボードでは3キー以上の入力は保証されず、認識を間違えることがあるのです。

組み合わせによってはこれを避けられることがあって、例えば3キー以上でもこれなら認識します。B-2を認識しても残り3つの配線が通電しているので、チップが調べにいくわけですね。

いわゆる「ゲーミングキーボード」など高級なキーボードではマトリクスにダイオードが追加された「Nキーロールオーバー」というものがあります。部品が増えるのでかなり高価になりますがキーを順番に全部押していっても認識します。Qキーから右に押さえっぱなしにいってもQ、W、E、R……と全部反応してくれます。

ただし今度はソフトウェア側の制限がでてきます。規格の限界のため、USB接続の場合同時に押せるのは6個までとなり、QWERTYの次にUを押すと最初のQは離したとみなされてしまいます。(AT互換機のPS/2接続の場合は全部押しっぱなしにできるものもあるようです)

特別なドライバーを用いてこの限界を突破しているキーボードもありますが、PCになんらかのトラブルが発生した場合、ドライバーが読み込まれないのでキーボードを使用することができなくなるなどの問題も出てきます。

Microsoft社のSideWinder X4 Keyboardはマトリクスの代わりにマルチタッチスクリーンのような静電容量式を採用し、さらにソフトウェア的に「2つのキーボード」として見えるようになっています。価格を押さえたつくりのまま、USBの規格は守って26キーを同時に入力できるようになっています。

ごく一般的なオフィスワークで使う同時押しといえば再起動のときの「CTRL-ALT-DELETE」くらいですが、グラフィックアプリケーションでは3キーのショートカットは当たり前。おそらくそれももうすぐ埋まってしまうでしょう。最近はキーボードがあまり重要視されていないのですが、一番長くつきあうデバイスでもあり、もう1歩の進化がほしいところですね。

ソース:Keyboard Ghosting Explained! – Microsoft Applied Sciences Group

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