一般向けGPS機器には兵器に使えないようにする「ある制限」が隠されている
地球上どこにいても自分の位置を知ることができるGPSは一般向け信号とより高精度な軍用信号が一緒に送られており、一般向け信号には誤差データが加えられていました。この誤差データは2000年に解除されたのですが、実は今も一般向けGPS機器には「ある制限」が課せられているのです。
こちらはバスなどの公共交通機関に対して位置情報システムを提供している「Ravtrack」社の「COCOMによるGPS追跡規制」ページの記述。
COCOM GPS Tracking Limits |
アメリカ商務省が輸出可能なGPS機器向けに制限を課しており:
受信機の速度が時速1000ノット(時速約1850km)、あるいは高度が1万8千メートルを超えると衛星からの電波の受信が中断されます。
Immediate access to satellite measurements and navigation results is disabled when the receiver’s velocity is computed to be greater than 1000 knots, or its altitude is computed to be above 18,000 meters.
とのことです。COCOMは対共産圏輸出統制委員会のことで、その昔はコンピューターや無線の東側への輸出を制限していた組織ですが、解散した今もこうして名残が残っているのですね。
時速1000ノットは時速約1850km、音速になおすとマッハ1.5くらい。高度1万8千メートルというと成層圏の下ギリギリというところでしょうか。つまりジェット戦闘機や大陸間弾道弾など、兵器に転用できないようになっているのです。
当然GPSメーカーは制限を外したチップも生産していますが、これらの入手は厳しく制限されており、普通は手に入れることができません。政府・学術機関向けの機器などには制限なしのチップが使われますが、輸出は禁じられます。
GPSの原理は公開されており、設計図やプログラムを自作している人はいるので興味があれば一つ作ってみるのはどうでしょうか。
ソース:CoCom – Wikipedia, the free encyclopedia
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