金属3Dプリンタ製45口径1911ピストルに関するQ&Aを製造元が公開
先日、世界で初めて金属3Dプリンタで出力されたピストルが実射に成功したというニュースをお伝えしましたが、その後これを実施したSolid Concepts社が寄せられた質問に関して回答を行っています。
■Q.この銃を販売するつもりはあるか
A.今のところ1911を売る予定はないし、他に計画していることがある。もし売るとしても5ケタ(数万ドル=数百万円)の金額になるだろう。焼結による銃の制作は、コスト削減ではなく、3Dプリンタの信頼性や利便性、耐久性、精度を証明するのが目的だ。
■Q.(3Dプリンタによる今回の行為は)適法なのか
A.Solid Conceptsは連邦銃火器ライセンス(FFL)のType 7を所有しており、この施設における銃の製造は適法だ。
■Q.銃のうち3Dプリンタ製の部品が占める割合はどれくらいか
A.ほぼすべてが3Dプリンタ製だ。34個が金属焼結、2つがカーボン入りナイロン12のレーザー焼結で作られた。スプリング6本は市販品を使用した。後加工による切削や穴あけは行っていない。
一切の後加工なくここまでの部品ができてしまうというのはすごい。
銃口側からみた銃身。3Dプリンタで出力した状態ですでにライフリングが切られている。出力は銃身を垂直に立てた状態で積層していったそう。
■Q.Solid Conceptsは何をする会社か
A.Solid Conceptsは特注部品や試作品の製作を行う会社だ。完成品を売ることはなく、どちらかといえばサービス部門に近い。1991年に創業し、現在は7つの工場を運用する総合技術会社となった。
現在はポリジェット、ステレオリソグラフィ、SLS、FDM、カンタムキャスト、CNCマシニングが事業分野。プラスチック、ウレタン、金属などの試作品や少量生産品をCADデータから直接加工している。フルスケール生産のための治具制作や射出成型も行っている。ISO9001とAS9100認証を取得しているほか、FFL Type7ライセンス、2014年のSOTもアルコール・たばこ・火器局(ATF)から取得した。
■Q.Solid Conceptsは公営企業か
A.Solid Conceptsは民間資本の私企業だ
■Q.銃の再装填に問題が見られたようだが
A.再装填に関するコメントは見た。前の動画の撮影の後、フィーディングランプの研磨を行った。また当初14ポンドのメインスプリングを使用していたが15ポンドに変更し、問題は解決している。(訳注:リコイルスプリング?)
研磨されて光っているフィーディングランプ。弾はここに接触して滑りこんでいく。
■Q.なぜこの銃は最後の一発を撃つと薬室を開放したままになるのか
A.1911は最後の一発を撃つとオープンなままになるよう設計されている。3Dプリンタ製だからといってカジリついているわけではない。設計された通りに動作している。
■Q.部品は応力除去、ないしは熱処理されているのか
A.銃のほとんどは17-4ステンレスでできており、応力除去されている、ただし耐久性を見るために熱処理はしていない。もちろん熱処理やより強い材料を使うことも視野に入れている。
■Q.何発射撃したのか
A.現在までに600発試射している
■Q.ホビー用の3Dプリンターで出力することは可能か
A.不可能だ。金属の3Dプリンティングには40万ドルから100万ドル(約4000万円~1億円)の設備が必要だ。機器だけでなく工業用の電力設備も必要になる。また、一般には入手しにくい不活性ガスや機械を扱う知識も必要だ。
■Q.他の火器製造会社と協力しているか
A.している
■Q.なぜ銃を作ったのか
A.伝えたいのは銃のことではない。この銃を通じて焼結による製造技術の高さや、複雑さを示したいと考えている。金属3Dプリンティングの信頼性や利便性、耐久性、耐熱性、精度などだ。Solid Concepts社は焼結技術に関して経験を積んでおり、幅広い製品を作ることができる。1911拳銃は有名で、製造に必要な耐久性や精密さを類推しやすい。こうした技術によって、航空宇宙分野、交通、医療、エネルギーなどにおいて高精度で現実的な部品を利用できるようになる。
Q&Aに並んだものの中には非常に基本的なものもあり、3Dプリンターとはいったいどのようなものなのか、という部分がまだまだ認知されていない様子。当然、出力されるプロダクトについてもまだ信頼性が疑問視されているのが分かります。こうした実験によって「実際のところはどうなのか」というのが周知されるというのはとても意義のあることだと思います。
ソース:Questions Answered: 3D Printed Metal Gun – Solid Concepts Blog
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