SFっぽい短機関銃「KRISS Vector」のプロトタイプはさらにSFっぽい見た目だった
アメリカのKRISS社による最新型短機関銃「KRISS Vector」はいかにも最新型という見た目でゲームに映画に大活躍していますが、開発中のプロトタイプはさらにすさまじくSFっぽかったのです。
まずはじめに
「短機関銃」あるいは「サブマシンガン(SMG)」は拳銃用の小さな弾丸を連射するための銃。高い火力をコンパクトに持ち運べるので車両の乗組員が護身用に使ったり、近年では室内での接近戦「CQB」で使ったりします。
代表的なモデルはこの辺りでしょうか。こちらはイスラエル生まれの「UZI(ウージー)」。元祖近代短機関銃ですね。
ファイル:Niger soldier-89-07307.JPEG – Wikipedia
ドイツ・H&K社のMP5シリーズ。精度が高く室内戦ではこれ一択、という時代もありました。
US_Navy_SEALs_in_from_water.jpg (540×432)
こういうのがいわゆる「ちゃんとした」形。しかしKRISS Vectorのプロトタイプは一味違うのです。
これがKRISS Vectorのプロトタイプだ
電動工具と見まごうデザイン。下から飛び出しているT字のハンドルを引っ張ってコッキングするのです。
ナンデ?
何がどうなってこんな形になってしまったのか。もちろん理由があります。「644」の三角形のウェイトに注目。
これは「Super V」と呼ばれる機構の一部で、発射の際にこのように下に動いて跳ね上がりを抑制しているのです。
また、以前ソ連製の射撃競技用ピストル「MC-3」でも取り上げたように、銃身と腕は一直線上に並んでいるのが理想的な位置。これまでの常識を捨てて理論を追求するとこんな形になってしまったわけですね。
以上2つの工夫によって、銃口の跳ね上がりが小さくなります。これによって同じ場所にたくさんの弾を撃ちこみやすくなり、結果として破壊力が上がるわけですね。
こちらは上のプロトタイプを射撃している動画。跳ね上がる動きではなく手の中で震えるような動きをするそうです。
the KRISS Super V Sub-machine gun – YouTube
それにしても、だ
考えに考え抜いたせいか、特許の文書にはかなりアレなデザインの試案が残されています。
これはまだいいでしょう。マガジン部分を左手でつかむデザイン。
軍用ライフルっぽいのですが……どうやって狙いをつけるのでしょうか。
スコープ覗けない。
その他結構無茶苦茶なデザインいろいろ。理論と実践は違うのですね……。
こういう形にまとめ上げた設計者はやっぱりエラいと思いました。この形であったからこそ多くの映画やゲームに登場できたということですね。
それでも安心してはいけない
「Super V」の特許を出願したうちの一人、Renaud Kerbratは他にも反動抑制のアイディアを持っています。
銃口先端下部のウェイトが発射時に振り下がる、跳ね上がりを抑制するシステム。実物が出てくるのが楽しみですね。
ソース:特許 US20040025680 – Firearm with enhanced recoil and control characteristics – Google 特許検索
KRISS of Death: Unconventional and Deadly .45 ACP Subgun Makes It’s Debut | Defense Review
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