必殺の「Ctrl+Alt+Delete」コマンドは、約10分ほどで作られた
Windowsパソコンユーザーなら知っておかなければいけない滅びの言葉、「Ctrl+Alt+Delete」コマンドはできれば使う場面が来てほしくないものです。深刻なエラーが出た場合にプログラムを中断するため、なくてはならないものですが実はこのコマンド、わずかに10分ほどの作業で作られたのだそうです。
1981年、Apple社は小売りのRadioShackと組んで個人向けのコンピューターをどんどん販売しはじめていました。
コンピューター業界の巨人、IBMは遅れを取り戻すべくたった1年で個人向けPCを開発します。プログラマーのデイヴィッド・ブラッドレーがコードネーム「ドングリ(Acorn)」と名付けられた新プロジェクトに配属されたのは、まさにそんなときでした。
何しろ短期間での開発なので、時間はいくらあっても足りません。当時のコンピューターはあるプログラムを途中で終わらせるのに電源を切る必要があり、再起動には非常に長い時間がかかりました。プログラムの制作には誤作動がつきものですが、修正のたびに作業が長時間中断され、効率があまりよくありませんでした。
デイヴィッドはこれを短縮するため、プログラムを止めるためにあるコマンドを仕掛けることにしました。これこそが後に彼のもっとも有名な仕事となる「CTRL+ALT+DELETE」の誕生だったのです。
山のような仕事の中コマンドは実装され、それに費やされた時間はわずかに10分ほど。3つのキーも「Ctrl+Alt」と「Delete」が十分離れていて、うっかり全部押してしまわないようになっているから、という非常に単純な理由で選ばれました。このコマンドは一般には非公開でしたが、開発者には伝えられ、大変重宝されたようです。「Acorn」は無事に出荷され、大ヒット商品となりました。そして「CTRL+ALT+DELETE」は一部の人間だけが知るコマンドとしてひっそりと生き延びる……はずでした。
あのWindowsが登場するまでは。
90年代初頭に登場したWindowsは不安定で、しょっちゅうエラーを出して止まっていました。その時に表示される「CTRL+ALT+DELETE」を押してください、という指示によって爆発的に知られるようになってしまったのです。
IBM-PCの誕生20周年を祝うイベントの席上、「CTRL+ALT+DELETE」について問われたデイヴィッド・ブラッドレーはこう述べています。
「(「CTRL+ALT+DELETE」の)発明については、ビル・ゲイツ氏の功績も大きいと思う。発明したのは僕だけれど、広めたのはビルだからね」
ソース:The History of CTRL + ALT + DELETE | Mental Floss
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