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自分の本にISBNをつけてAmazonで印刷・販売できるWebサービス「MyISBN」ベータ版開始


「個人の出版は電子書籍」というのがブームとなっているわけですが「紙の本」の需要はまだまだあります。「MyISBN」はISBN(国際標準図書番号)取得代行と「プリント・オン・デマンド」技術により、ほぼ電子書籍と変わらない手間で紙の書籍をAmazonで販売できるサービス。2013年3月1日からベータ版として稼働しています。


「紙の本」の出版は、作家・編集者はもちろんのこと、印刷や流通、広告宣伝、権利処理、電子書籍なら販売プラットフォーム……などたくさんの人とお金が動く一大事業です。もちろんある程度コンパクトにすることも可能ですが、ともかくも個人で出版するには大きく分けて

・ISBN(国際標準図書番号)の取得
一般流通に乗せるためはほぼ必須なISBN取得の最低費用は17850円。10冊までは同じ価格だが1冊だけだと割高。また、取得すると個人情報を公開することになりペンネームで活動している人には都合が悪い。

・流通
メジャーな流通経路に乗せるにはかなりの部数を事前に刷る必要があり、初期費用が膨大になる。需要を見誤ると在庫をもつことになる。書店に本を卸す「取次」との交渉は個人には難しい。

というハードルがあります。

「MyISBN」は運営元のデザインエッグ社が「出版社」として中に入ることでこれらの問題を解決。ISBNはデザインエッグ社がまとめて取得するので、自分の情報を公開せずに1件だけでも取得できます。印刷と流通については売れてから印刷する「Amazon POD(プリント・オン・デマンド)プログラム」を利用するため在庫は一切発生しません。

作家であるユーザーの負担はデータのアップロード、タイトルと分類等の入力の作業とAmazonで販売を開始するまでのシステム利用料4980円のみ。印刷やAmazonのプラットフォーム利用料、著者印税などその他の費用はすべて書籍の価格に含まれることになります。

1冊あたりの価格はAmazonのPODプログラムで販売されている他の本を見てみると、大体1ページあたり8円~10円というところ。300ページの書籍が3000円となるので、コミックや小説よりも専門書・技術書・ビジネス書向けという感じですが、これまで採算がとれないために出版できなかったようなニッチな分野の書籍にも、出版の門戸を開くことになります。

実際に印刷される本。ラミネートの表紙のソフトカバーになります。
Amazonプリントオンデマンドの本について ≪ デザインエッグ株式会社

さらにユーザー数が多く利便性の高いAmazonで販売できること、登録したあとは在庫リスクなし・ノーメンテで販売できるというメリットがあります。

デメリットとしては、書籍流通のために必要なプロモーションなどの機能をごっそり削っているので、自分で宣伝を行いAmazonの販売ページまで顧客を誘導できる人向けのサービスであるという点。

また形式上「デザインエッグ社からの出版」となりますが、著作権の管理などエージェントとしての役割が不明瞭な点も気になります。「コミケット」のような商業出版物の頒布を禁じている同人誌即売会での扱いもかなりグレーになりそう。このあたりは現在は「ベータ版」なのでこれから整備されていくものと思われます。

先日写真における「紙焼き」のトレンドについて記事で取り上げましたが、紙の本には「手触り」という単なる郷愁を越えた価値があり、未だ媒体としての地位は高いものがあります。この恩恵を個人でも享受できるようになるという点では画期的といってよいサービスではないでしょうか。

アクセスはこちらから。現在はベータ版ということで1冊980円での出版が可能です。
MyISBN – たった5分で書籍を出版

ソース:MyISBN

わずか980円からISBNをつけた自分の本をAmazonで販売できるサービス「MyISBN」 3月1日からベータ版を公開 http://MyISBN.in ≪ デザインエッグ株式会社

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