観客の生体反応によってストーリーが分岐する短編映画「Many Worlds」
「ここはこう、もうちょっと2丁拳銃とか爆発を増やして盛り上げるべきではないか」と思っても、映画がその通りに変わってくれるということはありません。もしそんな自分に完璧にフィットした映画なら必ず満足できるのではないか……というコンセプトでとある実験的な映画が作られています。
見る人によってあらすじが変化するのでなかなか解説が難しいのですが、いちおう初期設定はこんな感じだそうです。
チャーリーとオリビアが、最近落ち込んでいる共通の友人・コニーを励ますべく、彼女の19歳の誕生日に彼女のアパートを訪れた。ところが彼女は宇宙線に含まれる中性子によって完全にランダムなタイミングで青酸ガスが噴出するカプセルに自らを閉じ込めてしまっていた。
いわゆる「シュレーディンガーの猫」実験を実際に行ってしまったコニー。カプセルの中はどうなっているのかまったく分からない状態で、コニーの部屋にいるチャーリーとオリビア。いったいこの実験の目的はなんなのか……
というわけでどういう方向にも転がりそうな初期ストーリーとなっています。ここから観客の心拍数、筋肉の緊張、脳波、皮膚の伝導性などをこっそり計測し、それに応じてストーリーが分岐する仕組み。あまり集中していなかったり、退屈しているようだとかなりドラマチックな展開が待ち受けているそうです。
解説している動画はこちらから。
“many worlds” promo: a movie that watches you while you watch it – YouTube
ゲームというのは個々人で違う体験ができますが、コントローラーを使った操作というのは結構な手間で気軽に楽しむのは難しいものがあります。「Many Worlds」では観客は自分で意識することなくストーリーが変化するので、なにか操作することによって没入感を損なうということがありません。
何万人もの人々に同じストーリーを見せて満足させるというのは実はものすごいこと。一人一人に合わせたストーリーなら全体の満足度は上がるかもしれませんが「映画の感想を語り合う」という楽しみはなくなってしまいますね。
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