「プーチン大統領、イズマッシュ社を助けて……」AK-47自動小銃の設計者・カラシニコフ御大自ら嘆願書を送る
旧党幹部や政府の要人にほぼ独占されていた崩壊後のソ連経済を文字通りの「豪腕」で奪い返し、成長させた鉄の男・ウラジーミル・プーチン。現在、財政破綻し再建中のイズマッシュ社を救うべく、AK-47自動小銃の設計者その人であるミハイル・カラシニコフ御大がプーチン大統領に公開で嘆願書を提出しました。
今回、連名で公開嘆願書を送ったのはAK-47小銃の設計者、92歳のミハイル・カラシニコフ氏とその他業界関係者16人。
「敬愛すべきウラジーミル・ウラジーミロヴィチ(注:プーチン大統領)、あなたに頼るしかありません」で始まる書面は2012年10月30日に届けられ、生産量が記録的な低水準に落ち込んでいるイズマッシュ社の窮状を訴えています。
内容としては「偉大なる製造業の巨人」が危機的な状況にあること、何世代も続いてきた大工場がなくなるのは苦く屈辱であること、なによりイズマッシュ社に人生の多くをささげたOBたちのためにも工場を救って欲しい、というものです。
月収が約1万ルーブル(約2万5千円)に満たないので熟練工がどんどん転職し抗議のデモが発生したことや、現在の経営陣による短期的戦略についても批判。また「狩猟用・スポーツ用銃器の生産が止まり、輸出契約が破棄された。国家との契約も絶望的であるのは明らかとなった」と製品開発・輸出戦略の滞りも指摘していたそうです。
イズマッシュ社は1807年創立、帝政ロシアのころから続く機械製造会社で、超ロングセラー自動小銃「AK-47」を世に初めて送り出した工場でもあります。
しかし、ソ連崩壊後の内需の急激な落ち込みに追随できず、海外からの受注を得るのも失敗。新型小銃「AK-12」の前評判もいまひとつ、ということでその後は在庫ばかりが積みあがり2012年4月に財政破綻しています。
ところでAK-47小銃は各種バリエーションを含め累計1億丁以上生産されており、普通なら「ライセンス生産」や「特許使用料」などでそれなりに儲かっていてもよさそうです。しかしその多くは旧東側諸国やその国がソ連の奨励を受けて生産したもの。
崩壊後もそれらの国・企業が「コピー品」を生産し続けたため、正規のライセンス生産品は多くて全体の1割程度。イズマッシュ社は1997年にAK-47の特許を取得し知的財産権を主張しはじめましたが、それほど大きな効果が上がっているわけではなさそうです。
軍需産業は規模が大きいので、うっかりつぶすとその影響を受ける人はものすごい人数になってしまいます。かといって残しておいても生産されるのはやや時代遅れの兵器ばかり……起死回生のウルトラ再生策は出てくるのでしょうか。
ソース:Russia’s Kalashnikov Asks Putin To Save Famed Factory | Defense News | defensenews.com
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