科学と技術

1963年にベル研究所で作られた世界最初期のCGアニメーションの動画


1枚の絵を描くだけでも大変なのに、それを動かすとなると何枚も何枚も絵を描かなければいけません。これをいかにコンピュータで省力化するのか、その努力はものすごく昔から行われていました。これは1963年、アメリカの未来を背負っていると言われた「ベル研究所」で作られたCGアニメーションの動画。最も初期にコンピュータが生成したアニメーションと言われています。


これは球の周りを周回する「衛星(直方体)」を描いたアニメーション。まず計算はFORTRANで行い、この結果をORBITと呼ばれる描画プログラムにパンチカードで入力します。

球や衛星が動くとどう見え方が変わるのかを、手作業ではなく完全にコンピュータが計算しているので物理的にはかなり正確なアニメーションとなります。製作者のEdward E. ZajacはCG動画よりも人工衛星のシミュレーションの一環としてこの研究を行っていたようです。

出力について、さすがに画像の描画をここまで高速に行えるグラフィック機能は当時ありませんでした。そこで描画されたものをマイクロフィルムに焼き付けて映像に仕上げています。

動画はこちらから。
One of the First Computer-Generated Films, from 1963 – AT&T Archives – YouTube

なお「コンピュータを使うことで省力化できる」というベル研究所の思惑は「省力化できるからもっとすごいことができるようにしよう」というクリエイター達の意気込みで、プラスの方向に裏切られることとなります。人間の熱意というのはものすごいものがありますね。

関連記事

ものすごい正確さで未来を描いた1993年のTVコマーシャル「You Will」に登場した20個の技術 - DNA

DTPのご先祖、70年代に使われていた電話帳広告電子制作システムの動画 - DNA

1960年代の最先端「ベル研究所」のSF映画のような内部写真いろいろ - DNA

昔と今で描き方がこんなに違う「未来予想図」の比較 - DNA

天才アラン・ケイが1982年に構想していた「オンライン百科事典」のある世界 - DNA

この記事をブックマーク/共有する


前後の記事

DNAをこれからもよろしくお願いします!

Facebook上のコメント一覧