ナチのコスプレ集団、ユダヤ系のカップルに「迫害される難民役やって」とお願いして騒ぎに
ナチスドイツが連合国に降伏した5月8日とノルマンディ上陸作戦が行われた6月6日はヨーロッパの人々にとっては特別なもので、この日、各地で戦争を忘れないため硬軟様々なイベントが行われます。マニアが当時の連合国・枢軸国の軍装に身を包み戦場を再現する「リエナクメント」もその一つ、しかしちょっと行き過ぎてしまった人も現れてしまったようです。
この日、マートンとバーバラの夫妻はアフタヌーンティーと、スピットファイア戦闘機の展示飛行を楽しみにるDデーのイベント「Ramsbottom Wartime Weekend」に参加していました。
ところが、突然、ドイツ軍の恰好をした参加者がやってきて「黄色いダビデの星とくたびれたトランクを持って歩いてくれ。『かわいそうな感じ』が出るから」と言い出したのです。
マートンさんは「おそらく悪気はなかったのでしょうが断りました。ユダヤ系なら誰でも断るでしょう。600万人いるユダヤ人やホロコーストで亡くなった人々を侮辱している」と怒りを表明しています。
このイベントは毎年東ランカシャー鉄道が主催しているもので、古い駅舎や蒸気機関車などを使って当時の雰囲気を楽しむもの。1万人以上が集まる結構大きなイベントですが、近年は地元のユダヤ人コミュニティから「ホロコーストを連想させる恰好をした者が多すぎる」というクレームが出ています。
それでも昨年度は対話を重ねた上で「一般兵は可だが武装親衛隊や特定の軍人の衣装を着用しない」という合意に至っており、イベント規約でもその旨を周知。当日もイベントスタッフがカギ十字やSSドクロなどの過激なものを着用している人に注意をして回っていました。
着用規定。SSの軍服や装備、記章の着用が制限されます。
でも当日には秘密警察ゲシュタポを発足させたゲーリング(左)や親衛隊の黒服(中)を着用した人が現れてしまいました。
基本的にはミリタリーマニアのためだけではなく、退役兵達の同窓会的な意味合いを持つ楽しいイベント。それでもこんなトラブルが起こってしまったのは残念です。こちらは昨年の様子です。
アメリカ兵達
こちらはドイツ兵。野戦服ならSSでもいいんでしょうか。
駅舎がほぼ当時のままなのでもういつ撮影されたものなのか……
空軍兵士の制服を着る女性達
当時も列車で運ばれる兵士は大勢いました。
疎開する市民を演じる家族。
蛍光灯さえなければ当時の様子になりそうです。
日本でも「国の擬人化」というユニークなコンセプトで描かれたコミック「ヘタリア」でも、同じような問題がありました。
作品そのものは平和な内容ですが、劇中でキャラクターが着用している衣装が旧日本軍やドイツ軍の軍服に似ているためイベントによっては禁止されていたり規制が入ることがあります。多くのコスプレイヤーさん達は騒動にならないように自衛していますが、一部では横紙破りも発生した模様。
自由というのはタダではありません。何でもそうですが自分たちの遊びを続けていくために、合意したことはきちんと守っていきたいものです。
ソース:Outrage over Nazi fancy dress as Jewish couple ‘asked to play Holocaust victims’ – Telegraph
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