科学と技術

赤外線カメラからほぼ完全に隠れることができる熱光学迷彩装置「ADAPTIV」


いくら隠れても体温や熱いエンジンが発する赤外線を隠すことは難しいため、赤外線カメラを積んだ攻撃ヘリや無人攻撃機は歩兵の天敵です。これに対しイギリスの軍需企業BAE社が赤外線のパターンを描くことで熱的に見えなくなってしまう熱光学迷彩装置「ADAPTIV」を開発しています。


赤外線カメラで見るとこんな感じになります。エンジンの排気口や人間の顔や手など、周りと比べて温度が高い部分が白く見えるので、だいたいの輪郭が分かります。赤外線誘導のミサイルなどはこの輪郭を見てターゲットを認識しているわけですね。
Lobus FLIR – YouTube

「ADAPTIV」を装着した戦車を横から見ます。これは迷彩オフの状態。茂みの中ですが、熱を発しているので場所が丸分かりになります。

背景の熱放射パターンに合わせてADAPTIVを作動させると、このように熱的に全く見えなくなってしまいます。

秘密はこの6角形のパネル。電圧をかけることで熱くなったり冷たくなったりします。これを1000枚ほど敷き詰めると、ちょうど液晶ディスプレイのように熱のパネルが出来上がります。

要は「ドット絵」が描けるわけですね。完全に隠れてしまうほかにも、こんな感じで乗用車やトラックなどに見えるよう熱パターンを描くなんてこともできます。

真っ暗闇のなかでは味方同士での誤射がつきものですが、敵味方識別のシグナルがきたらこんな感じで応答することで誤認を防ぐのにも使えます。

あくまでも「熱的に」迷彩するだけなので、昼間は見えてしまいます。

文字も描けます。

BAE’s Adaptive Camouflage – YouTube

赤外線による画像認識は暗視装置だけでなく攻撃ヘリやミサイルなどの自動照準装置にもよく使われており、これをうまく騙すことができれば撃たれる危険が大きく減少します。

現在は赤外線カメラへの偽装のみですが、将来は可視光線でも同じことができるように研究が進んでいるそうです。「光学迷彩」の時代は本当にすぐそこまできているようですね。

ソース:BAE Systems to Unveil Adaptive Camouflage for Combat Vehicles at DSEi | Defense Update

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