電波や光線、匂いなどあらゆる手段を利用する最新の「追跡技術」いろいろ
スパイ映画などで尾行の相手に発信器を取り付けるシーンがありますが、現実は物語のさらに上をいっています。相手に絶対に気づかれないような発信器を用いて、気づかれないほど遠くから相手を追跡・監視する技術は、既に確率しているのです。
こうした追跡技術は「TTL(tagging, tracking and locating……タグづけ、追跡、位置確認)」と総称され、スパイ行為だけでなく現在の戦争では不可欠なものとなっています。
例えばテロリストと思われる人物を尾行して拠点を発見するときなど、たくさんのターゲットを一気に監視するため、効率よく気づかれないように追跡する技術が必要になります。
また、最近では無人攻撃機によって偵察したり攻撃するケースが増えてきました。より確実に攻撃する相手を認識するには、ロボットの人工知能やカメラの映像では能力が不足するため、事前にマーキングしておかないといけません。こういう用途でも追跡技術は使われます。
電波や光線など方法は様々ですが、まさにテクノスリラーの世界ですね。
超小型電波発信器
コインより小さいサイズの電波発信器。相手に気づかれることなく服やカバンに滑り込ませることができます。
生体反応タグ
何らかの方法で対象に知られることなく体内の組織に植え付けたりして、外部から判別するようにするもの。身体検査をしても発見することが難しい方式です。
量子ドット
物質をナノメートル単位にまで小さくしていくと量子閉じ込め効果によって、光を反射するときの波長を変えることが可能になります。
これを利用してセレン化カドミウムの超微粒子を液体に溶かして吹き付けたり、手につけて相手の肩を叩いたりすれば、特殊な暗視ゴーグルでないと見えない光を発するマーキングをつけることができます。
赤外線フラッシュ
強力なフラッシュでも、赤外線なら肉眼で見えることはありません。敵のいる建物の上にこれを投げ込めば、後は攻撃ヘリや無人攻撃機がその赤外線を目印に爆弾を落としてくれます。
無線タグ
無線タグはある周波数の電波に反応して、自分も電波を出して返事をします。普段はまったく電波を出さないので発見されにくいデバイスです。
対人レーダー
人間や自動車などの小さなサイズのものでもレーダーで発見できてしまいます。このレーダーはさらにGPSなどと組み合わせると、動いているものをGoogleアース上に表示できるという怖いものです。
体温フィンガープリント
人間は1人1人体温が微妙に異なります。なので、この熱によって発生する赤外線の波長は、1人1人違う「体温の指紋」として使うことができます。これを記録しておけばかなり遠くからでも相手を識別することができるのです。
赤外線サイリューム
ポキっと折ると光りだすサイリュームスティックを見たことがある人は多いかと思いますが、このサイリュームも原理は同じ。ただし赤外線を出すので肉眼では見えません。
他にも特殊なガスを吹き付けてその匂いをたどる方法などもあります。非公開の技術がまだまだあるかと思うと、恐ろしいものがありますね。
ソース:Crazy Military Tracking Tech, From Super Scents to Quantum Dots | Danger Room | Wired.com
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