初代から最新の「9」まで、Internet Explorerのレンダリングエンジンを試してみた動画
15年以上にわたり開発が続くマイクロソフト社のブラウザ「インターネットエクスプローラー」はWindowsに標準でインストールされているブラウザということもあり、非常に利用者が多いブラウザです。批判も多いソフトウェアですが、このブラウザの進化の歴史を1本の動画にまとめた人がいます。
初代インターネットエクスプローラー。Mozaicのクローンの1つとして1995年8月16日に誕生しました。Windows3.1とNT上で動作します。
テーブルすらサポートしていないのですごくシンプルな見た目。
httpプロトコルは変化していないはずなのにロードの失敗が多発。パケットスニッファで1.0と8.0のパケットを比較してみることに。
1.0はHOSTヘッダを送出していないことが判明。他にも色々と抜けがあり正しいサーバーを選択できていない状態でした。
これではオンラインでACIDテストが実行できないので、ローカルにダウンロードして実行。ACIDテストは1個目だけ成功。
当たり前ですが2個目(CSSレンダリング)は全滅。
3つめ(Javascript)はクラッシュする始末。
CSS、Javascript、フレームを使用していない古いページはちゃんと表示できたようです。
インターネットエクスプローラー2。
Windows95 OEM SP1にバンドルされていたものをインストール。1.0の2ヶ月後にリリースということで大きな変化はありません。
テーブルのサポートでだいぶ見られるサイトは増えたが、HOSTヘッダの対応はまだ。
不思議なことにACID3テストは一応93/100点。CSSはまだ未対応。
インターネットエクスプローラー3はWindows95 OSR2からインストール。OSとの結びつきが強く、スタートアップスクリーンにも「Microsoft Internet Explorer」と書かれています。独占禁止法にひっかかって訴訟となったものの、10年近くにわたるブラウザシェアの独占の基礎となりました。
VMWareが対応していたため。色深度32bitを選択してテスト。インターフェイスはややかっこよくなりました。ボタンのレイアウトはここからIE6まであまり変化しません。
当時シェアの高かったNetscape NavigatorのCSS、Javascript、フレームといった機能に対応したほか、やっとHOSTヘッダに対応したので色々なサイトにアクセスできるようになりました。
一応CSSにも対応したのでACIDテストも実行可能に。あまり意味はありませんが……。
インターネットエクスプローラー4.0
かなり議論となったデスクトップのアップデートコンポーネント「Active Desktop」。右側のチャンネルバーは現在のRSSのような使い方ができ、ユーザーが選んだサイトの情報が自動的にダウンロードされるようになっていましたがユーザビリティーの低さが問題でした。
見た目や機能はほぼ3と同じ。ツールバーの背景がなくなりました。
レンダリング性能もあまり変わりません。Outlook ExpressやFrontpageなどバンドルソフトとの連携が強化されたバージョンでした。
ACIDテストのレンダリングができるように。
ACID2テストは色がつきました。
ACID3テストは走るものの山のようなエラーを吐いて完走できず。
インターネットエクスプローラー5。1999年生まれ。
WindowsはもちろんMacOS7~10、Solaris、一部のHP-Unixなど様々なプラットフォームで動作します。IE9がVISTAと7でしか動かないことを考えると、すごいソフトでした。
「Web2.0」なサイトを実現するXMLHttpRequestが実装されたバージョンでもあります。
最近のサイトがなんとか表示可能に。見た目もそれらしくなってきました。
ACIDテストもだんだん正確に。
ACID2はまだまだですが、ACID3も走って6点までいきました。
インターネットエクスプローラー6。2001年生まれ。WindowsXPからインストール。2007年まで6年もの間新しいバージョンが作られることがなく、多くのWebエンジニアを苦しめたことで有名なバージョンです。
インターフェイスはよりカラフルに。CSSとJavascriptへの対応が大幅に改善しました。
ACIDテストはだんだん見られるレベルに。
ACID2も認識はするようです。
ACID3はまだまだ。
トラフィックの60%がIE6とも言われており、多くのサイトが対応中。エンジニアの皆さんの努力の結果です。
インターネットエクスプローラー7。
前のバージョンから6年という長い時間を経て登場。その間に発展したWeb技術が色々と導入されています。
タブブラウジングが最も目新しい機能。その他細かい部分が色々変更となっています。
レンダリングはこの通り。手元のブラウザで見比べてみてください。
それでもACID2、ACID3テストは満足に走りません。
ACID3に至っては5のほうがマシなレベルでした。
インターネットエクスプローラー8。
2009年にデビュー。定期的なアップデートが行なわれることを示しました。
デフォルトの検索エンジンを選択できるようになったほか、アクセラレータと呼ばれる外部サービスとの連携機能が搭載されました。
Web標準への対応は大きく進行。ACID2はIE史上初めて合格しました。
ACID3はわずか12点とまだまだです・
インターネットエクスプローラー9。
8ににたデザインだがより丸みを帯びた流線型のデザインを採用。細部にChromeの影響が伺える。
ACID3も95点をマークしFirefox 3.6を超えてはいますが合格せず。現在合格しているのがOperaとChromeなどごく一部のブラウザだけ。マイクロソフトは意地を見せてほしいものです。
レンダリングエンジンは優秀。ハードウェアアクセラレーションもサポートし、HTML5のサポートも進みました。この辺りはFlash陣営への意識も感じます。
動画はこちらから。
YouTube – We are IE – Comparing every version of Internet Explorer
何かと批判の的になりがちなインターネットエクスプローラーですが、こうして並べてみると、まぁこんなもんか……という感じもします。IE6に関わった人間があまりにも多く、その悪評が尾を引いているのが決定的な汚点と言えるでしょう。日本語版IE9は東北地方太平洋地震の影響で日本語版の公開が遅れていますが、今後の進化も楽しみです。
ソース:Andy’s Tech Experiments Blog: We are IE – Comparing every version of Internet Explorer
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