「放射能の除染」はいったいどのようなことをするの?
東北地方太平洋沖地震では、福島第一原子力発電所がダメージを受けたために一部地域で放射性物質による汚染が発生しています。汚染した人や物が移動してしまうことでさらに被曝者が増えてしまうことを防ぐために、自衛隊や消防隊による「除染」という作業が行なわれるわけですが、いったいどのようなことを行なうのでしょうか?
まず混同しやすい2つの用語を確認しましょう
■被曝(ひばく)
放射線をあびること■汚染
放射線を出す物質が付着すること
汚染してしまうと本人が被曝し続けるだけでなく、周りの人も被曝してしまいます。また、放射線を出す物質が体の中に入ってしまうと取り出せなくなってしまうためさらに深刻な被害を受けます。
放射性物質は簡単に言えば「ほこり」ですから、これを「除染」によって洗い流せば、それ以上の被曝を防ぐことが可能です。特殊な薬品などを使うこともありますが、水で洗い流すのが基本です。
現代の戦争やテロ活動では毒ガスや病原菌、核ミサイルといったNBC兵器(CBRN兵器とも)が使われる確率が高く、多くの軍や消防機関などで「除染」の訓練が行なわれています。
除染を行なう隊員は一般的にこのような防護服を着用します。目止めのために手首・足首にテープが巻かれ、放射性物質から体を守ります。
使用後はこのように洗浄した上で放射性廃棄物として処理されることになっています。基本的には使い捨てです。
ごしごしとこすられる隊員。結構うすい素材なのが分かると思います。
降り積もった放射性物質を踏んで汚染されてしまうケースが多いので、靴は特に重要な除染箇所。
防護服を脱いだあと再び測定が行なわれ、もし放射線が検出されるとさらに洗浄が行なわれます。現在原発の近くで行なわれている除染作業は、おそらくこのレベルのものだと考えられます。
水を送るポンプ車やシャワー用テントなど専用装備が多いため、多くの軍では専門の部隊が編成されます。陸上自衛隊では中央即応集団の中央特殊武器防護隊のほか「化学科」と呼ばれる部隊になります。
毒ガスや核兵器などが用いられた地域からの道路に検問をしき、除染を行なうのもこうした部隊の任務。とにかく外部に汚染を広げないために色々な対策がとられます。
もちろん「除染」は人間や車だけでなく、こうした大型船舶にも行なわれます。これは1946年に行なわれた核実験「クロスロード作戦」の後除染される船艦ニューヨーク。
もちろん病院では汚染された患者の受け入れ訓練が行なわれています。詳しくは以下のリンクから。
ソース:Category:Decontamination – Wikimedia Commons
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