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まさにAmazonの「戦略兵器」、維持費無料の3G回線でやりたい放題できる「Kindle 3G+Wi-Fi」ハードウェアレビュー


インクの粒子と同じ見え方をするディスプレイ「E-ink」に書籍3500冊分相当のデータを保存できる4GBのフラッシュストレージを搭載、おまけに維持費無料の3G回線でブラウジングし放題というAmazonの「戦略兵器」新型Kindleが2010年8月に発売になりました。先代に比べ動作速度が2割向上し、お値段189ドル(Wi-Fi+3Gモデル)とこの手のガジェットとしてはお手ごろな上、折からの円高とあってはもう抵抗のしようがありません。即ポチってあれこれといじってみました。使い勝手の改善やティップスは追々ご紹介するとして、まずは素のハードウェアの素晴らしさをお楽しみください。ほんとにおすすめです。

開封の儀

左側が純正オプションのカバー、右側がKindle本体。

開封。

中身はごくシンプル。マニュアルはKindleの中にあります。Amazonのサイトからダウンロードすることも可能です。

第1印象は「結構小さい」。新書版と比べて幅がちょっとあるくらい。iPadの大きさに目が慣れてしまっているとかなり小さく感じると思います。

CDと比べてもこんなもの。

実際に持ったところ。ハードカバー1冊分の重量といったところでしょうか。

厚み。角が落とされているので手に持つとかなり薄く感じます。

こちらは純正カバー。バイブル版の手帳をイメージすれば大体それくらいのサイズになります。

ラバーバンドで止める方式。バンドも外のレザーも超丈夫です。実はカバーのプラスチック部品には大きな秘密があります。

Kindleとの接続は、まず下側の金属フックをこうかける。

しかる後、上のフックを下にさげながらKindleにかけておしまい。

このように接続することで、Kindleとカバーは電気的にもつながり、このようにKindleのバッテリーを利用してLEDライトを点灯することが可能になります。

バックライトがないため暗いところでは大活躍。これはほぼ真っ暗な部屋の中で使用した様子ですがかなり明るいのが分かると思います。純正カバーは別売りですが、必須アイテムと言っていいでしょう。

サイズ比較。上から新書版・Kindle・Thinkpad X60S。

初期設定

さて、それでは表示されている通り、充電からやっていきましょう。

電源プラグはUSB接続のもの。ゴツいACアダプタを使わなくていいのはかなり好印象です。ケーブルの予備も簡単に用意できそうです。

コネクタの形状。

こんな感じで底部にさすと、オレンジのLEDが点灯して充電を開始します。

おそらく最初にビビるのがこの表示。最初の充電指示がさーっと消えてウェルカム文が表示されます。てっきり保護ラベルに印刷してあるのかと思ったら実はディスプレイの表示だったので、かなり驚きました。

PDFを読む

基本的にKindleはAmazonから書籍をオンラインで購入して読む、というモデルを採用しています。しかしAmazonはまだ日本語版の電子書籍の販売をスタートさせていないので、自分で読む本は自分で作る必要があります。ここでは、著作権切れの書籍をテキストに起こした「青空文庫」をPDFに変換したもので、表示機能をチェックしてみたいと思います。

※次回以降、詳しいソフトウェアの解説等を行う予定です。

それではまず、USBケーブルでKindle本体とPCを接続します。

マスストレージクラス対応なので、最近のPCであればドライバー無しで接続することができます。

PDFファイルはこのように「documents」フォルダの中に置きましょう。今回は海野十三「暗号数字」を変換しました。

USBケーブルを抜き、キーボードのAlt+Zを押すとリストに書籍が読み込まれます。

あとは決定ボタンを押すと中身が表示されます。

インクの粒子とほぼ同じ見え方をするE-ink液晶は、ほとんど紙のような見え方をします。ディスプレイを見ているという感覚がほぼありません。

表示サイズや文字のコントラスト、表示方向などはメニューから調整できます。

拡大機能はこんな感じ。

任意の場所をこのように拡大できます。倍率は決めうちです。

文字のコントラストが最低の状態。

最高の状態。PDFへの変換方法にもよりますが、大体少しコントラストを上げるだけで事足ります。

横向き表示はこんな感じ。

表示に関して問題があるのは、例えばこういう配置のページ。

自動的に余白を切て表示してしまうので、このように中央に寄せて拡大されます。台詞の多い小説だと、突然拡大されたページが表示されるので心臓に悪いです。このあたりは変換時に色々な細工をすることで逃れることも可能。

インターネットに接続する

Amazonから電子書籍をダウンロードするためのインフラとして、Wi-Fiと3G回線「Whispernet」が用意されています。日本国内では、ドコモ・ソフトバンク回線をAT&Tがローミングする……という形になっており利用は完全に無料。毎月の料金もアクティベーションも必要ありません。

原則としてAmazonからのダウンロードにのみ使用することが前提ですが、Kindleには「Experimental(試作版)」としてインターネットブラウザが用意されておりこれを使ってネットサーフィンを行うことができます。

電源を入れるといきなり3G回線網に接続。ほんとに何もする必要がありません。もちろんWi-Fiのアクセスポイントを選択することも可能です。

ブラウザはWebkitベース。JavaScriptも動作し、AJAXなサイトも利用が可能となっています。ただしマルチウィンドウに対応していないので新しいウィンドウを開こうとするリンクが利用できないなど、いかにもベータ版な感じです。

見たいところを拡大して読む仕組み。カーソルは十字キーで動かすので最初は不安でしたが、クリッカブルなところにしか移動していかないので簡単です。上下左右の移動も直感的に行えました。

IMEが無いので日本語の入力はできません。しかしサジェスチョン機能を使えばこのように日本語で検索は可能です。

ブラウザの問題はE-inkディスプレイの描画の遅さ。カーソルキーの下を押しっぱなしにすると、このように残像が残ります。

Googleマップも動きます。しかし時々かなりゆっくりになることがあります。

横向き表示。静止状態ではかなり視認性もよくカラーではないがきちんと読めます。

ただしスクロール中は残像だらけになり、スムーズな動作ができません。

移動が終わると元通りです。

まとめ

さてKindleを使って小説を10冊ほど読んでみた結果、私が感じたのは以下のようなことでした。

■良い所:

・今まで色々なPDAを試したが、およそ「文字を読む」という点でこのE-inkディスプレイに勝るものはない。直射日光の下でも読めるほどの素晴らしい視認性。
・追加の出費は原則書籍代のみ。
・バッテリーの持ちがすごい。不安を感じたことがない。
・世界中どこでもいきなり無料でインターネットに接続可能。
・安い。3G+Wi-FIで189ドル。Wi-Fiのみなら139ドル

■悪い所:

・日本語書籍については今のところ、自分でコンテンツデータを用意する必要がある。ソフトウェアでボタン一発だが、設定の追い込みにやや時間がかかる。
・ブラウザに多くを期待できない。モバイル版が用意されているサイトであればスムーズに利用できる。
・文字の拡大や画面のリフレッシュなどの時に挙動不審になることがある。ファームウェアの改善を期待したい。
・日本語が入力できない。
・PDFやTXTファイルを3G回線経由でダウンロードしてKindle内に保存するのに料金がかかる。Wi-Fi経由なら無料。通常のブラウジングはもちろん無料。

Kindleはしばしばアップル社のiPadと対比されますが、iPadはオールインワンのタブレットPCなのに対し、Kindleはあくまで「書籍」の域を超えるものではありません。しかし、書籍リーダーとしてのKindleは素晴らしい性能をもっています。

特にディスプレイの視認性は見事。こんなえげつない比較広告をうつほどはあります。
New Kindle Pool Ad – YouTube

恐らくこれを最も必要とするのは、長期間旅に出るバックパッカーのような人々でしょう。これさえあればあらゆるところで書籍を手に入れることができ、その気になれば故郷の友人にPDFを用意させて、それをダウンロードすることもできます。

ある程度自分で環境設定を行うのが苦にならない人にとってこれほど楽しいガジェットはそうそうないのではないでしょうか。次回以降の記事で支援ソフトウェアの紹介や、使い勝手の改善など、よりKindleを楽しみやすくする方法を紹介する予定です。お楽しみに。

スペック

ディスプレイ:6インチ 600 x 800ピクセル 16階調グレースケール電子ペーパーディスプレイ
サイズ:(190 mm x 123 mm x 8.5 mm)
重量:241 grams
システム要件:なし。基本的に母艦PCがなくとも利用可能。
ストレージ:内臓4GB(ユーザー領域は約3GB)
バッテリー寿命:通信なしで約1ヶ月。通信ありで3週間。
充電時間:4.5時間。コンセント又はUSBソケットから充電可能。
Wi-Fi:802.11b,g WEP/WPA/WPA2 802.1x認証のネットワークに接続可。アドホック接続不可。
USB:USB 2.0(micro-B コネクタ)
オーディオ:3.5mmジャック、背面ステレオスピーカー
対応フォーマット:Kindle(AZW)/TXT/ PDF/Audible(Audible Enhanced(AA/ AAX))/ MP3/unprotected MOBI/PRC natively/HTML/DOC/JPEG/GIF/PNG/BMP
付属品:クイックスタートガイド
保証:1年。2年の延長保証可能(アメリカ在住者のみ)

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