アートとデザイン

人間の可聴領域に挑戦する超低音・超巨大バスーン「サブコントラバスーン」が開発中


クラシック楽器の世界では超低音を鳴らせる楽器、しかも持ち運びが可能なものとなるとそうそう多くはありません。そんな未踏破の領域に超巨大なバスーン「サブコントラバスーン」で挑戦する人が現れました。

これがサブコントラバスーンの模型と設計者にしてバスーン奏者のロバート・ボボ氏。めちゃくちゃ巨大な楽器ですね……

どのくらい巨大かというと、普通のバスーンはこのサイズ。ほっそりしてます。
bassoons | Musicians from the National Center for Performing… | Flickr

使用するリードも長さ84mm、幅なんと27mmと口に入らなさそうなくらい巨大。

完成時に予想されるサウンドはこんな感じ。ピアノの最低音よりもさらに低く、可聴領域から外れる「C0」を出すために作られました。一番下で「ゴゴゴゴゴ……」と鳴っているのがサブコントラバスーン。
Subcontrabassoon Sound Tests – YouTube

ロバート・ボボ氏曰く「サブコントラバスーンこそが(クラシック音楽というジャンルにおいて)超低音を導入する最適解なのである」とのこと。これはなぜかというと、クラシック楽器で低音を鳴らすのはものすごく大変なのです。

まずギネス公認で最も低い音が出せる楽器、パイプオルガンは建物まるまる一棟を使う楽器です。持ち歩くことができません。お値段も1億円に届いてしまいます。

巨大なパイプオルガンで奏でる「スター・ウォーズのテーマ」がすごい – DNA

弦楽器は弦を伸ばせば伸ばすほど低音が出そう……ですが、あまり長いと人間の手が届かないという限界があります。弦をゆるく張れば短い弦でも低音になりますが、それでは音色がおかしくなってしまい、これも使えません。

人間の可聴域を超える低音を演奏できるコントラバス「オクトベース」で「ジョーズのテーマ」を演奏する動画 – DNA

管楽器の中でも金管楽器は「超低音」を狙うのは大変。低音楽器であるチューバは、理論上、パイプオルガンの最低音である「C0」を出すことができます。

しかし音色の元となる発音体が人間の唇という、肉体の壁があります。あとやっぱ重たい。こちらはニューヨークの楽譜出版社、カール・フィッシャーの本社にある超巨大チューバ「大カール(Big Carl)」ですが、二人がかりですね。

Playing a Titanic Tuba | The New York Times – YouTube

つまり持ち運びがある程度簡単で肉体的な制限も少ないサブコントラバスーンは超低音を出すのにピッタリ。「C0が出るバスーン」に向けて書かれた楽曲は存在しませんが、超低音は倍音によって和音の響きを豊かにし、演奏の雰囲気をガラっと変えることができます。

なお「演奏を邪魔したやつはステージ上でバスーンを吹いてもらう」という警告に用いられるほど、演奏が難解であることでも有名な楽器です。完成が待ち遠しいですね。
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ソース:Subcontrabassoon

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