永世中立国スイスの美しい景色にカモフラージュされた軍事施設の写真いろいろ
1815年のウィーン会議で承認されて以来、中立の立場を保持し続ける永世中立国スイス。しかし、その国土はドイツ・フランス・イタリアなど五カ国と国境を接しており、いざという時のための自衛の努力は並大抵でないことがよくわかります。
他国間の戦争については中立の立場を貫くスイスですがその軍事力は強大。自国が攻撃された場合どこまでも戦う準備が国全体にできています。山裾にある大きな洞穴は臨時の格納庫付き空軍基地に、高速道路は中央にあるセパレータを取り除くことで素早く滑走路にすることができます。また、多くの橋やトンネル・道路・鉄道は、侵入してきた敵の軍隊に利用されないように必要な時にはいつでも壊すことが出来る仕組みとなっています。
さらにスイス・アルプス地方には、周りの景色に溶けこむように注意深くカモフラージュされたトーチカなどの軍事施設(掩体壕)が存在しています。これらは巨大な岩や家、小屋などにカモフラージュされており、緊急時には大砲や重機関銃などを設置し、すぐさま使用することができるのです。
1. 岩の擬態バージョン
2. 普通の農業用小屋にカモフラージュされています
3. 完璧に周りに溶け込んでいますね
4. 隠し切れない何かが見えて閉まっています
5. SFな雰囲気
6. ヤギを飼っている山小屋にしか見えません
7. これもかなりの難問
8. 窓は全て偽装……
9. これはわかりやすい
侵攻に備えた「ミリタリー仕様」になっているのはインフラだけではありません。スイスは徴兵制をしいており、800万人の人口に対して20万人の常備軍と360万人の兵役経験者がいます。彼ら・彼女らは自宅にライフルを持って帰ることが許可されているので、イザという時は国の約半分が兵士として戦う準備ができているのです。アメリカの作家 ジョン・マクフィー(John McPhee) は、1984年の著書「La Place de la Concorde Suisse」にてスイス軍将校が語った言葉「スイスは軍隊を持っていない。スイスが軍隊である」を引用しています。
10. 周りとのシンクロ率が凄い
11. レンガ小屋風
12. 森の中にもあります
13. 岩と同化しています
14. 絶景ポイントにも設置
15. 冬だと見つけるのは非常に困難だということがわかります
16. 秘密基地っぽさ全開
17. これは気になる施設
スイス・アルプス地方の要塞化は1980年代に始まり、世界大戦や冷戦時代に増強または近代化されています。しかし現在、国境沿いに緊急の脅威が存在していないため、多くは空の状態となっており、その多くは荒廃しつつあります。いくつかはホームレス用シェルター、または博物館やホテルへと作り替えられています。
スイス政府は、毎年必要となる維持費を考慮しバンカーを減らしてく方向で検討していますが「中立は(核攻撃による)放射能に対しての保証はない」との意見もあり核シェルターでもあるバンカーは現状のまま使用されることになりそうです。
1978年に全ての新築の建物にはシェルター設備を義務付ける法律が可決されています(2006年まで)。もし家を新築する際にシェルターの建設を拒否した場合、公共シェルターへの支払いが義務となります。スイスのほぼ全ての家、公共施設、病院には核シェルターが備え付けてあります。同様に30万近くのバンカーや全スイス人を収容可能な5100の公共シェルターが存在しています。
現在、スイスは国民全員を守る事ができる核シェルター持つ世界でただひとつの国です。
こちらは第二次世界大戦時に使用されていたトーチカの写真シリーズ。知らないと謎の古代文明に見えてしまいます。
謎の古代文明を彷彿とさせる第二次世界大戦のトーチカいろいろ
ソース:The Camouflaged Military Bunkers of Switzerland | Amusing Planet
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