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YouTubeの「ラウドネス統一規制」がデジタル音源の作り方を変えるかもしれない


先日から、YouTubeの音楽動画において導入されたらしき「ラウドネス(≒音量)規制」によって、ほぼすべての音楽動画の聴感上の音量が統一されるようになりました、これは一体何を意味するのでしょうか。

今回Productionadvice.co.ukによって発見された規制は、おそらく2014年12月ごろから導入されたもの。アップロードされたデータは加工せず、プレイヤー側でラウドネスが一定になるよう正規化されて再生されているようです。ラウドネスが統一されたことで、プレイリストをかけっぱなしにしていても均一な音量で音楽が流れてきます。

しかし、ラウドネスの統一は単に便利なだけではありません。楽曲の質そのもの向上に関わる可能性があるのです。

理由ははっきりしませんが、80年代からこちらCDに収録されている音源のラウドネスは増大し続けています。こちらはマイケル・ジャクソンの「スリラー」が再リリースごとにラウドネスを上げてきている「証拠」ですが、他の音源でも同じことが起こっています。
Loudness Wars versus Michael Jackson – Loud Loses ! – YouTube

ラウドネスを稼ぐ、ということは他の何かが犠牲になっているということです。それは「ダイナミクス(≒音量の最大値と最小値の差)」です。詳しく見てみましょう。

まず、音源を加工せずに音量を上げるとこうなります。音源には点線で示した音量の上限が存在するため、そのまま音量を上げてもその増分はあまり大きくありません。

それでは音量の上の山をさきに潰してから、全体の音量を上げるとどうなるでしょうか。こうすると音量差(ダイナミクス)は小さくなりますが、全体としての増分は上がります。

非常に多くのCD音源がこのような手法を使ってラウドネスを稼いでいますが、ポップスのように音量差が小さな楽曲ならともかく、フルオーケストラのユニゾンと楽器1本のソロが交互に現れるようなクラシックなど音量差の大きな曲では問題です。(とはいえ、再生中にボリュームをいじる必要がなくなるようにクラシックでもダイナミクスの差は小さくなるように加工されています)。

また最大・最小の差が少ないということは、せっかく音源をハイレゾにしてもその解像度が無駄になることを意味します。デジタル音源では大きな問題です。

なぜラウドネスを稼ぐ必要があったのかは今もってあやふやです。安物の再生機器でもそれなりに聞こえるようにするため、ラウドネスが高いほうが「聞き映え」がいいため、MP3へのエンコードを難しくするため、などいろいろな説があるようですがはっきりしません。

世界でも有数の音楽の供給源であるYouTubeがラウドネスの規制をしいたということは、業界の「ラウドネス症候群」の終わりと、ダイナミクスの復活を意味するのかもしれませんね。

ソース:YouTube just put the final nail in the Loudness War’s coffin

トップ画像:Mixer board | Flickr – Photo Sharing!

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