アートとデザイン

アール・デコ全盛時代に一世を風靡したレトロフューチャーな流線型の自動車12選


1920年代から1930年代頃、世界中で大流行した流線型をデザインに取り入れた自動車がたくさん登場しました。自動車のデザインにエアロダイナミクスが採用され始めたこの時代には、豪華絢爛に装飾された車や航空機技術者が設計した空気抵抗を徹底的に追求した車など非常に個性的な自動車が溢れていました。

1. ファントム コルセア:Phantom Corsair(1938年)

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1938年にたった1台のみ作られた幻の自動車「ファントム コルセア」。生産・販売が行わる直前に代表者が交通事故で亡くなってしまったため計画が頓挫しています。ただ「ファントム コルセア」を1台生産するコストは2万4000ドル(現在の約4000万円)とされ、販売予定価格の1万2500ドルを大幅に超えていたようです。

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当時の自動車にはタイヤを覆うフェンダーや乗り降りに使用するランステップがあるのが普通だったのですが「ファントム コルセア」にはそのどちらも存在していません。タイヤを覆い隠す流線型のボディ、ドアは電気ボタン式を採用、インパネはコンパスや高度計が並べられていました。

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2. ドライエ 135 & 175 :Delahaye Coach-Built Cars

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かつてフランスに存在した高級車メーカ「ドライエ」が1935年〜1954年に製造していた135シリーズ、または戦後に排気量を拡大した175シリーズをベースにした自動車。

第二次世界大戦以前のフランスでは、ボディ専門の製造業者(コーチビルダー)が競いあうように「フラムボワイヤン」(火炎様式)と呼ばれる豪奢な流線型の車体を作り上げていました。しかし戦後になるとこれらの車を支えていた富豪の没落や高級車への超高額な課税などにより衰退してしまっています。

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3. クライスラー エアフロー:Chrysler Airflow:(1934年〜1937年)

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アメリカの自動車メーカ「クライスラー」が1934年〜1937年に製造・販売していたエアフローは世界初の流線型をした大量生産された市販車の一つ。クライスラーの開発チームは、世界ではじめて有人飛行を成功させたライト兄弟の弟オーヴィル・ライトの協力を得て風洞実験を繰り返し行って流線型のデザインを設計しています。後の自動車デザインを一変させる程インパクトのあったエアフローですが、当時は世界恐慌の真っ只中ということもあり商業的には完全に失敗に終わっています。

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4. コード 810:Cord 810(1936年〜1937年)

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かつてアメリカにあった自動車メーカ「オーバーン」が1936年〜1937年に生産していた「コード 810」。1935年のニューヨーク・オートショーで公開されています。アメリカで初めて前輪駆動や、ヘッドライトを格納できる「リトラクタブル・ヘッドライト」を採用した車です。

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5. GM フューチャーライナー:GM Futurliner

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GMが主催した全米を周りアメリカの最新技術を紹介するパレード「Parade of Progress」で使用された1939年製のバス。1940年から1941年、戦争を挟んで1953年から1956年に使用されています。ジェットエンジン、ステレオ装置、電子レンジ、テレビなどをバスに積んで紹介してのですが、テレビの急速な普及により1956年に役目を終えています。フューチャーライナーは12台のみが生産されており、現在残っているのは9台。そのうちの1台は2006年のオークションで約4億3000万円で落札されています。

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6. ホランド・コーチクラフト製の配達用バン:Holland Coachcraft Streamline Delivery Vans

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1933年〜1936年にイギリス・グラスゴーのボディ専門の製造業者「Holland Coachcraft」が製造した流線型の配達用バン。Commer、Guy Wolf、Albion社製のシャシが使用されています。

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7. メルセデス・ベンツ Lo 3100:Mercedes Benz Lo 3100

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1938年にメルセデス・ベンツが製造した流線型に加え、天井の開け閉めが出来るコンバーチブル・バス。

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8. ルンプラー トロッペンワーゲン:Rumpler Tropfenwagen

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1921年のベルリン・カー・ショーで公開されたトロッペンワーゲンは、航空機のデザイナーだったオーストリアの技術者エドモンド・ルンプラーによってデザインされもの。世界初の流線型自動車の一つに挙げられます。

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100年後のディストピアの世界を描きSF映画の金字塔となった1927年の映画「メトロポリス」にも少しだけ登場しています。
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1979年にフォルクスワーゲン社の風洞で行われた空気抵抗のテストでは驚異的な数値を記録し技術者たちを驚かせています。一説によるとフォルクスワーゲンは1988年に発売された3代目「パサート」までその記録を破れなかったとも言われています。
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9. シュレールワーゲン:Schlörwagen “Pillbug”

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空気力学を追求した特異な風貌からタマゴやダンゴムシの愛称で呼ばれることもある1939年のベルリン・オートショーで公開されたシュレールワーゲン。「メルセデス・ベンツ 170H」のシャシを使用し、エンジンは車体の後部に配置されています。一見過剰にも見える流線型のこのボディの空気抵抗を風洞実験で調べてみると現在の技術と照らしあわせても全く遜色の無い驚異的な数値を記録しています。第二次世界大戦で開発が中断してしまいそのまま再開されること無く計画自体が終了しています。

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10. スタウト スカラブ:Stout Scarab

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「スタウト スカラブ」は、アメリカの自動車メーカ「スタウト・モーターカー」が1930年代後半から1940年代前半までに生産した自動車。

世界初のミニバンと言われおり、室内空間は広く使えるように様々な工夫がデザインされていました。また、グラスファイバー製ボディやエアサスペンションなど世界初の技術も採用しています。

しかし、商業的には大きく失敗しています。当時の評価では外観が醜いと見られていたこと、さらには同じ時期に販売されていた豪華な流線型をした「クライスラー エアフロー」が1345ドルだったのに対し「スタウト スカラブ」は5000ドル(現在の約870万円)と非常に高額な値段設定だったことなどが原因となり、100台の生産予定が結局9台のみの生産に終わってます。

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11. タルボット-ラゴ T150:Talbot Lago T150(1935年〜1940年)

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かつてパリ郊外にあったフランスの自動車メーカ「タルボット-ラゴ」が製造したクーペ「タルボット-ラゴ T150」。ティアドロップ型をした流線型の車体は、「Figoni et Falaschi」や「Saoutchik」等の当時のフランスを代表するトップレベルのボディ専門の製造業者(コーチビルダー)によって作られていました。現在、状態が良いものは3億5000万円〜5億円の超高額でオークションなどで取引されることもある非常に人気の高い自動車です。

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12. タトラ 87:Tatra 87(1936-1950)

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この時代で最も速い自動車だったと言われる1936年〜1950年にチェコスロバキアのタトラ社が製造していた「タトラ 87」。車両後部には3L空冷90度オーバーヘッドカムV8エンジンが搭載され85馬力を出力、トップスピードは約160km/hを誇っていました。第二次世界大戦時代、時のナチス・ドイツ軍需相フリッツ・トートはその速さに惚れ込み「この87は、アウトバーン専用車だ……」と話したと記録されています。
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また第二次大戦後にはチェコの冒険家コンビ「ハンゼルカとズィクムント」が「タトラ 87」に乗り約3年半(1947年から1950年)の月日をかけてアフリカや南米の44カ国以上、11万1000kmを走破しています。スピードだけではなく耐久性についても非常に高性能な車でした。
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現在では自動車をデザインに空気抵抗を考慮することは普通の時代となっていますが、当時のデザインとは大きく違っています。好みかは意見は分かれそうですが、ちょっと変わった自動車も魅力的です。

時代が少し下った1950年代のアトミック・エイジになると原子力駆動コンセプトカーなる不思議な自動車も登場していますが……完全に廃れてしまっていますね。次はどのような自動車が登場するのでしょうか。

ソース:12 Streamlined Rides from the Age of Art Deco

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