科学と技術

1950年代のアトミック・エイジに計画された5台の原子力駆動コンセプトカー


2度の世界大戦後のエネルギー不足を解決すべく考案された「原子力カー」は、燃料切れを恐れること無くどこまでも走っていける理想の車となるはずでしたが、色々な問題を解決できず現実になることはありませんでした。こちらは1950年代後半から1960年代前半のアトミック・エイジに各社から発表されたコンセプトカー。いずれも夢と希望に満ちあふれています。

1. フォード・ニュークレオン : Ford Nucleon(1958年)


1958年にフォード社が開発した車体後部に搭載された小型原子炉を動力とするコンセプトカー。8000km以上を補給なしの走行、原子炉の動力モジュールの取替も簡単に出来るように設計されていました。現在は、ヘンリー・フォード博物館に模型が展示されています。

2. アーベル・シンメトリック:1958 Arbel Symétric(1958年)


1957年〜1958年にデザインされ1958年の「ジュネーヴ・モーターショー」に展示されたコンセプトカー。元々はディーゼル油を燃料として開発されていましたが、フォード・ニュークレオンに影響を受け40-kWを出力する原子力電池を採用しています。当時のフランス政府は原子力の使用・開発は禁止するとの決定をしています。

3. シムカ・フルグル : Simca Fulgur(1958年)


フランスの自動車会社「シムカ」が1958年にデザインし、1959年に「ジュネーヴ・モーターショー」で発表したコンセプトカー。タイヤが見えず宇宙船のようなSF風の外見や原子力駆動であるだけではなく、音声コントロール、レーダー・ガイド、時速150kmを超えるとジャイロスコープにより二輪で走行する機能を備えていました。ちなみにFulgurは、閃光や稲光を表す言葉です。

4. スチュードベーカー=パッカード・アストラル : Studebaker-Packard Astral(1957年)


アメリカの自動車会社「スチュードベーカー=パッカード」が1957年に制作し、1958年の「ジュネーヴ・モーターショー」にも出品したコンセプトカー。SF的な外見をしたアストラルは、ジャイロスコープでコントロールされた1輪車のため水面に浮かんでいるのような乗り心地だったと言われています。アメリカ各地の販売店に展示されたため行方が分からなくなっていたのですが、約30年後に再発見されレストア後にスチュードベーカー博物館に展示されています。

5. フォード・シアトリティ XXI : Ford Seattle-ite XXI(1962年)


1962年のシアトル万国博覧会で公開されたフォードによる2台目の原子力駆動の3/8サイズのコンセプトカー。原子力駆動以外にも当時としては夢の様なアイデアが満載されていました。コンピュータと地図によるナビゲーションシステム、交換可能な燃料電池、4輪駆動(4つの前輪、2つの後輪の6輪車)など、現在では実現していている技術も数多くあります。

1950年代当時は自動車以外にも原子力を利用した乗り物が数多く検討されました。例えばアメリカなどは原子力戦略爆撃機を作ろうとしてB-36戦略爆撃機にテスト用原子炉を積んで実験していたり原子力機関車なるものを考えていた国もあるようです。

いずれも安全性や経済性の面から考案・実験段階で終わっていますが、原子力潜水艦・原子力空母などの原子力船は実現され実稼働に至っています。

ソース:Nuclear-powered concept cars from the Atomic Age – Autoblog

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