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一度信じてしまった「デマ情報」はものすごく訂正しにくいことが研究で明らかに


ソーシャルメディアの普及によって非常に細かい情報も流通しやすくなる一方、デマや誤情報もまた拡散しやすくなってしまいました。こうした誤情報を訂正しようとして口争いになるケースは多々見られますが、どれだけ正しく訂正しても、一度ウソを信じてしまった人はなかなか意見を改めることができないことが研究によって明らかになりました。


実験はオハイオ州立大学のコミュニケーション研究者、ケリー・ガレット教授によって様々な性別・年齢の574人を集めて行われました。手順は以下の通り。

まず、全員が「政治的内容のブログ」からとられた文章を見せられます。この文章は政府資料や新聞のニュースをもとに、嘘の情報が混ぜられています。

被験者は自分では分からないように次の3群に分けられており、実験後に情報の精度を確認するテストが行われました。

1. ウソ情報を教えられた後、すぐ訂正情報を受け取った
2. ウソ情報を教えられた後、関係ないタスクを3分行ってから訂正を受けた
3. ウソ情報を教えられてそのままにされた

例えば「電子カルテのデータが医療関係者だけでなくその他の人も利用できるようになった」という嘘ニュースが混ぜられている文章を読んだ後、「電子カルテのデータを閲覧するハードルはどれくらい低いか」という質問に答えるわけです。

その結果、すぐ訂正を受けたグループの点数がトップに、ついで時間を空けて訂正を受けたグループの点数が2位、訂正を受けなかったグループが最低点となりました。

ここまではごく当たり前の話。しかしさらに調査を進めたところ、興味深い事実が現れました。

実験の前に様々なトピックに関する志向や姿勢を調査していたのですが、トピックに賛成する人には間違いニュースに関する訂正の影響がより強く表れることが分かったのです。逆に、あるトピックに批判的な人たちにはいくら正しい訂正情報を出しても姿勢が変わりませんでした。

つまりトピックに対する先入観によって、訂正情報に対する信頼度が変化することが明らかになったのです。

もちろん即時の訂正に効果がないわけではないのは実験からも明らかです。しかし「悪いことが起きるに決まっている」と最初から構えている人には、単に「デマですよ。事実とは違いますよ」と教えても信用されません。

実験チームは「こうした人に対しては訂正というよりも説得に近いことをする必要がある。心理的バリアを下げるのに、少し時間を空ける必要もある。」と実験結果について語っています。

さて、それではこうしたデマに対してITには何ができるのでしょうか。

ネットの情報拡散は非常に速く、ひとつひとつ訂正して回ることはできません。ならば入り口を潰してしまえばいいということで、2009年にブラウザ用の誤情報検知プラグイン「Dispute Finder」が試験的にリリースされていました(現在は公開終了)。

これは当時のインテルが開発していたもの。表示されているテキストを読み取り、誤情報データベースと照合することで表示されている記事にデマが含まれていないかを判断するというもの。データベースの作成者にバイアスがかかっていた場合にどうなってしまうのかや、情報のフィルタリングと表現の自由の関係などいろいろ問題はありますが、おそらく最も最適解に近いアイディアではないでしょうか。

実際に動いている動画はこちらから。
Dispute Finder Video from 2010 Intel Labs Berkeley Open House – YouTube

情報が滝のように流れ込んでくる昨今、人間の力だけで正誤を判定するのは限界があります。リテラシー教育だけでなく誤情報やデマを弾く仕組みの開発も重要になってきそうです。

ソース:False Beliefs Persist, Even After Instant Online Corrections

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