ネット・PC

Appleのソーシャルネットワーク特許が示す「人と人との出会いの未来」


先頃明らかになった情報によると、iPhoneなどのiOSを持ったユーザーどうしをマッチングするネットワークサービスに関する特許を取得したことが明らかになりました。ソーシャルネットワークのとある「弱点」を解決するなかなか面白いアイディアが組み込まれているようです。


ソーシャルネットワークサービス(SNS)の弱点は「プロフィール情報は全て自己申告」ということです。

携帯電話やクレジットカードの申し込みでは「身分証明書のコピー」「公共料金の領収書」など複数の書類から本人確認を行ないますが、SNSではほぼそのような手続きが必要になることはありません。プライバシーやセキュリティなどの問題もあり、サービス側でそこまで面倒見切れない、ということもあると思います。

なので氏名や年齢といったものすごく基本的なことから、職業や来歴、日記の内容までありとあらゆるところに「ウソ」を書いてもほとんどバレることがありません。ウソと言わずともプロフィールに多少「盛っている」人は少なからずいるでしょう。いわゆる「出会い系」のトラブルではよく「自称会社役員」がよく捕まっています。

実際に会ったことのある人どうしがSNS上でつながりを持つならともかく、ネット上でつながったり、一定のアルゴリズムを使って自動でマッチング(例:Twitterの「おすすめユーザー」)させるとなると、このようなウソ情報は非常に有害なものになります。

この問題はどうすれば解決するのでしょうか。

Appleが出した答は「『その人がどういう人なのか』というのは行動に表われる」というもの。普段私たちは何気なくアプリや音楽をダウンロードしたり、色々な所に遊びにいったりしていますが、これらを記録し分析するとその人がどんな人かかなりの精度で分かるようになります。iPhoneなどのiOSデバイスにはもちろん履歴が残っておりAppleはこれをユーザーどうしのマッチングに利用することを考えました。

利用されるデータは上で述べた物の他にも「音楽ライブラリの内容」「共有された画像」「移動履歴と滞在時間」などiPhoneを使うことで得られるほぼ全てのデータを対象に解析を行ない、さらに自分の現在位置からの距離で絞り込んでマッチングを行ないます。

もちろん意図的な履歴の操作は可能です。ただし、膨大なデータどうしで矛盾がないように履歴を操作しないといけないので、見破られないウソをつくのはちょっと難しいのではないでしょうか。

実際のイメージを見てみましょう。データは基本的にiOS端末どうしのアドホック通信で行なわれます。おそらくこの方がウソをつきにくいため。iOS以外の携帯電話との連携も視野に入っているようですね。

自己申告のデータは名前以外使用されません。もちろんこのネットワークに検索されないように設定することも可能です。

ネットワークに参加しているメンバー全員から検索するのではなく、一定の距離にいるメンバーだけを検索するよう。画面には「20ヤード(約18メートル)」とかなり近い距離が表示されていますが、どこまで変更できるのでしょうか。

メンバーが見つかったらマッチ度や距離、連絡先などが表示されます。

詳細情報では、お互いの楽曲リストの中で共通している曲目や今までに行ったことがある観光地など、話題のとっかかりになりそうな項目を見ることができます。2011年にiPhoneが端末内に過去の位置情報をすべて記録していたことが明らかになりましたが、今思えばこのSNSのためのものだったのではないかという気がします。

このSNS、かなり突飛なようにも感じますが仕組み自体はかなり有効に働きそう。男性の同性愛者が自分の性的指向やプロフィールを登録し、近くにいるマッチしそうな人を探すことができる「Grindr」というほぼ類似のSNSが既に稼働しており、かなり成功しているようです。

iTunes App Store で見つかる iPhone、iPod touch、iPad 対応 Grindr – ゲイ、バイセクシュアル、好奇心旺盛な男性のレーダースコープ。

テキストチャットで話かけて気が合えば実際に会う、というイメージでしょうか。

ある携帯端末がSNSへのカギとなっているというアイディアはなかなか斬新ですね。成功すればiPhoneユーザーを囲い込むこともできるため、iPhoneの優位につながるでしょう。一方対抗馬のGoogleはWebの閲覧履歴という強いデータを持っており、それを利用したライバルをぶつけてくる可能性もあります。SNSでは出遅れているだけに、逆転の一撃が見物です。

下の動画はMITで開発されている携帯型インターフェイス「Sixth Sense」で相手のTシャツに相手のプロフィールを表示させているところ。将来はこんな端末で、道行く人のプロフィールが見られる世界になるのかもしれません。人との出会い、というものが全く違うものになりそうですね。

YouTube – Pattie Maes & Pranav Mistry: Unveiling the “Sixth Sense,” game-changing wearable tech

ソース:Apple gives us a Peek into a New Social Networking App in the Works – Patently Apple

関連記事

SNS上で彼女の代わりに甘い会話の相手をしてくれるWebサービス「Cloud Girlfriend」 - DNA

Facebookのデータ10000件から明らかになった「恋人達の別れの季節」5つ - DNA

SNS上で彼女の代わりに甘い会話の相手をしてくれるWebサービス「Cloud Girlfriend」 - DNA

「楽しくないほうのバレンタインデー」のための、残念な一言キャンディー「BitterSweets」 - DNA

「彼氏がいる」と言われたときに食い下がるためのワンフレーズ英会話 - DNA

後ろ向きな言葉を前向きに変換するiPhoneアプリ「ネガポ辞典」を高校生が開発 - DNA

アヤシイ仮説「セクシーな女性ほどラクに生きていける」を検証する動画 - DNA

この記事をブックマーク/共有する


前後の記事

DNAをこれからもよろしくお願いします!

Facebook上のコメント一覧