科学と技術

なぜ旅客機にはパラシュートが搭載されていないのか?を詳しく解説してくれる動画


客船には万が一の事故に備えて救命ベストが準備されていますが、旅客機にパラシュートが準備されている、という話は聞いたことがありません。これはいったいなぜなのでしょうか?

Why Don’t Planes Carry Parachutes? – YouTube

理由その1:飛び出した先の環境が厳しい

一般的なスカイダイビングでは高度3000メートル程度から飛び出すのに対し、旅客機の巡航高度は約1万メートル。特殊な訓練と装備が必要な高度であり、凍傷や減圧症の危険も高く、脱出しても助からない可能性が高くなります。

理由その2:旅客機に搭載するパラシュートを作るのが難しい

余分な重量増はすべて輸送コストに跳ね返ってきます。ちなみに枕1つあたり5セント、飲料缶で6セントのコスト増。パラシュートはこれらよりずっと重たく、多大なコスト増となります。

また、着用が簡単なものでなくてはいけません。2009年のUSエアウェイズ1549便不時着水事故では全員が生還したものの、救命ベストを正しく使用できたのはわずか4人だったそう。より操作が複雑な操作が求められるパラシュートだとこれより少なくなるわけで、そうすると搭載する意味は薄そうです。

理由その3:パラシュートが有効な航空機事故が少ない

そもそも、パラシュートに意味があるのはある程度の高度から脱出が必要になった時のみ。例えばエンジンなど機体の故障などがあたりますが、2重・3重に冗長化された結果、機体要因の事故はごくわずかになっているため、パラシュートの出番は少なそう。

また離陸・着陸という機体から飛び出しにくく、突発的なシチュエーションがほとんどなので、やはりパラシュートは生かせそうにありません。

色々と検証してメリット・デメリットを考慮した結果パラシュートを搭載するよりも、その他の部分で安全性を高めたり、事故の際の対応を訓練したほうがよい、ということですね。旅客機の事故は重大になる分、中にはこのような驚くような対策もされています。
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