新型コロナウィルスが麻薬密売組織のマネーロンダリングシステムに深刻な影響を与えている
アメリカでは死者がベトナム戦争における戦死者数を超えるなど、新型コロナウィルスが猛威を奮っています。まさしくありとあらゆる分野に影響が出ており、麻薬密売組織のマネーロンダリングシステムも機能しなくなってしまっているそうです。
ロサンゼルスでは過去1ヶ月の間に大規模な強制捜査が3回行われましたが、3回とも100万ドル(約1億1千万円)規模の現金を押収したとのこと。こうした事態は異例のことであり、当局では密売組織が用いるマネーロンダリングのシステムが機能していないためと見ています。
押収された現金。
このようにパッキングされた状態で発見されました。
密売組織はメキシコのカルテルに何らかの方法で利益を送らなければなりません。しかし当局の監視を逃れるため、銀行を通じた取引をすることはできません。そこで密売組織は様々なロンダリング手法を用いることになります。そのうちの一つ「ブラックマーケット・ペソチェンジ」と呼ばれるロンダリング手法が新型コロナウィルス感染拡大の影響を大きく受けており、これが現金のだぶつきの原因と考えられています。
「ブラックマーケット・ペソチェンジ」は文字通り、小売業者を用いる方法。まず現金を動かしたい密売組織は送金ブローカーにドルを渡しペソを受け取ります。密売組織はこのペソを卸業者に持ち込み、衣服や化粧品、宝石といった日用品を購入。卸業者はメキシコにいる小売業者にこれを輸出し、小売業者はこれを売ってペソを入手し、このペソが送金ブローカーに戻ります。
ところが小売業者が新型コロナウィルスの影響で操業を停止しており「出口」が閉ざされた状態になってしまっているのです。よって、現金を動かすことができず、大量の現金が押収される事態になってしまうということです。
他にも、中国から違法に現金を移動させる地下銀行のシステムも影響を受けています。中国からアメリカに送金したい人は送金ブローカーに元を持ち込みます。ブローカーは元を受け取り、合成麻薬の原材料となる化学物質を購入、メキシコに輸出します。密売組織は合成麻薬を生成し、これを売って入手したドルを、依頼者のアメリカに住む親類や協力者のもとに送ります。この方法も中国からの輸送が遅れたり、中国側の工場が機能停止しているために機能しなくなっているようです。
新型コロナウィルスのような伝染病は社会にいるものすべてに影響を与えています。他にもこんなユニークな事件も起こっているようです。
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ソース:Coronavirus slows L.A. money laundering, bringing seizures – Los Angeles Times
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