自動車を「縦」に立てて運んでいた70年代の貨物列車「Vert-A-Pac」の画像いろいろ
物の値段には原材料費だけでなく様々な経費が含まれています。とある自動車メーカーは新車を安く売るために、経費を少しでも削って安くしたい……と考え、列車で最も効率よく自動車を運ぶためミッチミチに積み込める、こんな方法を編み出しました。
1960年代、新車というのは貨物列車を使って輸送されるのが当たり前でした。しかし、通常の2階建てキャリアを使っては貨物列車の重量限界に届きません。一時は3階建てのキャリアを使用していたそうですが、それでもまだまだ余裕があったそうです。
鉄道模型で3階建てキャリアを再現した人。4:30あたりからその勇姿を見ることができます。
This is nuts | Model railroad locos and rolling stock | Model Railroad Hobbyist | MRH – YouTube
自動車が贅沢品であるうちは輸送費が多少嵩んでも良かったのですが、シボレーの「ヴェガ」のように、1970年当時で2000ドルという低価格路線のものが出てくると輸送費の影響が大きくなってきます。
ヴェガは小型であったので列車で18台を一気に運搬することができました。しかしそれでも工場から太平洋岸まで運ぶのに4800ドル、つまり自動車1台あたり300ドル近くのもの輸送費がかかってしまっていたのです。2000ドルの車に300ドルの輸送費では、儲けが吹き飛んでしまいます。
そこでシボレーの親会社、ゼネラル・モーターズと鉄道会社が開発したのがこちらの「Vert-A-Pac」なるキャリア。
これは車両を縦に搭載することで、一気に30台を運搬できるという代物。実に壮観です。
搭載したら外から重機を使ってフタをしめていきます。
見守る人々。縦に運搬してもエンジンオイルやウィンドウォッシャー液、バッテリーの電解液などが溢れないようにするため、わざわざタンクや蓋、配管の位置が設計変更されたのだとか。
こうした涙ぐましい努力によってヴェガは当初よく売れたそうですが、品質が低かったせいもあり廃盤に。「Vert-A-Pac」も分解され、他の貨車に転用されたということです。
運ぶものがスマホやPCなど小さくても小型のものが主流になったこと、またエコで安価な輸送手段ということで、最近は中国~ヨーロッパを結ぶのシルクロードの列車輸送が復活しつつあるというようなニュースもあり再び注目が集まっている感もあります。
ちなみに現在の鉄道による自動車輸送はこんな感じ。ひたすら自動車を積み込みます。
Amtrak Auto Train Loading and Leaving Lorton Virginia | Railfan Rowan – YouTube
アメリカでも鉄道輸送はまだまだ主流。時にはこんな風にすごいものが運ばれているのにも出くわすことがあるようです。動画はこちらのリンクから。
踏み切り待ちをしていたらものすごい貨物列車がやってきた動画 – DNA
ソース:Vert-A-Pac: An Unusual Way to Transport Automobiles | Amusing Planet
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