アメリカ国防総省DARPA開発の「筋力増強スーツ」のテストが進行中
着用するだけで筋力を倍増させるスキンスーツはヒーローの必須アイテム。こんな夢のようなデバイスが、アメリカ国防総省の研究機関DARPAで開発されています。
「強化外骨格」は、人体を動力付きフレームで覆うことで筋力を増強するデバイス。貨物の重量はフレームに逃げるので人体に負担がかかることはなく、一人で数十kgの重量を持ち上げることも不可能ではありません。
そういうわけでフィクションの世界では、強化外骨格を装備することで一人で大火力を扱えるようになったスーパーソルジャーがよく登場します。
映画「オール・ユー・ニード・イズ・キル」に登場したマッシブな強化外骨格を完全再現したコスプレ「B-EXO」の画像 – DNA
しかし、実のところ強化外骨格は巨大な武器を振り回したり、パンチ力を上げたりといった攻撃的な用途を(今のところ)目的としているわけではありません。
航空機にミサイルや爆弾を搭載したり、補給物資をトラックから下ろしてその辺に積み上げたり、あるいは単に重たい荷物を背負って歩いたり……戦場での兵士の日常は、戦闘ではなくこうした労働が多くを占めています。これらのストレスを軽減することで全体的な戦闘力を向上するというのが、軍における「強化外骨格」の目的です。
ここで問題になるのは、フレームを用いる強化外骨格はちょっとかさばりすぎる、という点です。前線基地などの拠点で用いるのならともかく、行動中の兵士にとっては大きく重たいことは体力的・フレームの電源的に移動範囲と速度を狭めることになります。特に隠密性が求められる長距離偵察任務では、致命的な弱点といえるでしょう。
そこで国防総省の研究機関DARPAは「Warrior Web Program」として、ハーバード大学の研究所と協同で、衣服の下に着用できる「スキンスーツ型」強化外骨格の開発を続けています。
下半身に強化外骨格をつけてデータ採集中の兵士。一見すると何もデバイスを着用していないように見えますが……
腰の上からかかとまで這わせたワイヤーが「筋力増強デバイス」。足が地面を蹴ったりする動きに合わせてワイヤーを巻き上げたり緩めたりすることで、筋肉の動きを補助・増強します。
動画はこちらから。
DARPA Exoskeleton for SOF – YouTube
陸軍は他にもこうした筋力アシスト用の強化外骨格の開発・テストを行っています。こちらは筋力に力を与えるだけでなく、逆に力を吸収することで発電を行うこともできるユニークな外骨格。車の「回生ブレーキ」と同じ原理ですが、最近電子化の進んでいる兵士にはちょうどよいアイテムなのかもしれません。
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