科学と技術

「自分は専門家だ」と思っている人ほどデマを信じやすいことが科学的に判明


立派な業績を上げてきたはずの学者や職業人が、なぜかころっとウソ知識に引っかかってしまう……インターネットの普及によって、こういう光景をたくさん見るようになったわけですが、いったいなぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

カーネル大学の心理学者、スタブ・アティールによれば、人間誰しも「あるテーマについて知っていればいると思うほど、そのテーマ内の架空のトピックについてもよく知っていると思い込んでしまう」傾向があるとのこと。

心理学では、自分をよく見せたいときに過大申告(Overclaiming)のバイアスがかかることが分かっています。これが「知識」になると、例えば偽史である「江戸しぐさ」や、ニセ科学である「水からの伝言」などを信じてしまうということです。

テストでは、あるテーマに対してフェイクのトピックを混ぜた試験を行い、被験者に答えさせました。すると、テーマに対して詳しいと申告したほど、フェイクのトピックを見破ることができなかったのです。ある被験者のグループに対しては「この中にはニセのトピックも含まれている」と事前に予告したにもかかわらず、同じことが起きてしまいました。

問題は「なぜ過大申告をしてしまうのか」という点です。どういう人が自信過剰になってしまうのでしょうか。

これを確かめるため、あるグループの全員に「簡単な地理クイズ、難しい地理クイズ、あるいはクイズなし」の3つから選択肢を与えました。

クイズはリストの中からアメリカの都市名を選ばせるというもので、リストの中には実在する街もそうでないものも含まれています。クイズを受けることを選んだ人は、選択したレベルに関わらずこのクイズが配られ、そして簡単なクイズを選んだ人ほど、フェイクを見破れない率が高くなったのです。

ここから分かることは、問題は知識量の多寡ではなく、「自分はよく知っている」という思い込みです。簡単なクイズを選ぶ人は「このクイズなら高い確率で正解できる」と考える、つまり自分の知識量を高く見積もるため、ウソにもひっかかかりやすいのです。

一度信じてしまったデマ情報は長く頭に残ります。目の前にあるのが事実かデマなのか内容をよく調べるのはモチロン大事ですが「これを拡散した人はどれくらい自分の知識に自信を持っているのかどうか」を見極めてみる、というのもよい判断方法になるのかもしれませんね。

一度信じてしまった「デマ情報」はものすごく訂正しにくいことが研究で明らかに – DNA

ソース:When Knowledge Knows No Bounds

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